不当な推計課税を受けたときにはどのような方法で対抗したらよいか

私は、所得税について、総所得金額を三三九万円余と確定申告したところ、税務署は、四〇五万円余と更正してきました。事後調査にも協力し、帳簿や伝票類も必要なものは全部見せて、申告の数字を裏づけたのに、同規模の同業者にくらべると申告所得額が低すぎるから推計課税を行なったと言うのです。こんな不当なことが許されるのでしょうか。また、どんな方法で争ったらよいのでしょうか。

 所得税法や法人税法にある推計課税の規定は、それがどのような場合に適用されるかはっきりした定めがありません。また、推計の方法についても、「その者(または法人)の財産若しくは債務の増減の状況、収入若しくは支出の状況又は生産量、販売量その他の取扱量、従業員数その他事業の規模」により推計する旨規定しているだけで、しかも税務当局側はこれを例示的なものとみなしています。
 判例によれば、推計課税が適法であるためには、推計課税をなし得る場合であって、推計が合理性を有していることが必要とされます。

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推計課税とは言っても、それは、あくまでも自主申告制度を前提にしたものですから、税務署がいつでも勝手にできるものではありません。これまでの判例にあらわれた見解を整理してみると、推計課税ができるのは、収支を明らかにする帳簿類がないか、帳簿類の記載が不正確である場合とか、納税者が調査に協力しない場合に限られ、まったく調査を行なわないで推計課税をすることは許されない、ということになります。
 推計が合理的なものであったかどうかは、その推計方法が個々の具体的事案に最も適切であったこと、つまりそれ以上に合理的な方法がない、と見られるかどうかによって決まると言われています。判例の大多数は、課税庁側が、推計の全過程が合理的であることを裏付ける事実、つまり、推計の必要性、推計方法の合理性、推計の基礎事実の正確性等につき立証責任を負うものと解しているようです。
 推計による「更正」に不満があっても、たいていは「金額がわずかだから」とか、「争っても手間とカネがかかる」「相手はお上だから勝ち目はない」と考えて、泣く泣く税金を納めてしまうことが多いようです。
 しかし、これでは、税務署がますます横暴になるだけです。しかも、一旦総所得金額を高くされたら、その次はもっと高く申告しなければ、税務署が納得しません。だから、仮りにどんなに少額でも、税務署側のやり方が明らかに違法、不当であると思ったら、徹底的に、異議申立て、審査請求、行政訴訟と争いつづける姿勢が必要です。
 不当な推計による「更正」を受けたら、すぐ良心的な税理士、弁護士、または近くの民主商工会に相談したうえで、税務署に行って根拠を問いただしましょう。そのときに注意を要するのは、あくまでも税務署側の理由と資料を開示させることに重点をおき、こちら側の資料を不用意に提出したり、見せたりしないようにするということです。税務署側との応答は、録音機にとるか、すぐメモにするなどして、後日の証拠に保存しましょう。
 また、略議申立に対する決定には理由を附記しなければなりませんし、審査請求事件の審理において、審査請求人から申立てがあれば、担当審判官は、課税庁から提出された書類その他の物件の閲覧を、正当な理由がないときは拒むことができず、また、審査請求人は、担当審判官に対し、課税庁から証拠書類を提出させるよう申し立てる権利があります。従って、これらの権利を活用して、「更正」処分の根拠を明らかにするよう要求して行くべきです。

家計と暮らし
生活保護法による医療扶助を受けるには/ 生活困窮のために教育扶助を受けるには/ 不当に生活保護が打ち切られたらどうしたらよいか/ 修正申告に応じたが、どうしても納得できない場合/ 不当な推計課税を受けたときにはどのような方法で対抗したらよいか/ 不当な税務調査に納税者が対抗するには/ 税務職員による違法調査の責任を追及するには/

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