生活困窮のために教育扶助を受けるには

社会における学歴偏重の風潮は、親や子に、有名大学から大企業、官庁という就職コースからはずれてはならないという一種の強迫観念を植えつけ、そのため、高校生活は大学受験のための予備校化し、それが小中学校にまで大きなしわ寄せとなってあらわれています。そのため、小学校から、テスト、テストでおわれる反面、大量の教材、副教材、テスト等々が用いられるために学用品費がかさみ、その他、交通費、給食費等は馬鹿にならない金額にのぼり、勤労者の家計を圧迫しているのが現状です。そして、子どもに辛い思いをさせたくない一心から、親が着るものも着ず、食べるものも食べないで、子どもに教材費を与え、学校に給食費を持たせてやっているというのは、決して笑いごとですまされる問題ではありません。
 戦前の日本においては、教育は国民にとって国家に対する重大な義務の一つでした。兵役、納税と並ぶ三大義務といわれているほどであったわけです。そして、その内容は、国家のため、身も心も、そして生命までも捧げ尽くすことこそが臣民たるものの義務で あり本分であるという思想を、骨のずいまで注入される義務があるというものでした。そして親も子も、その教育内容について不平不満を言うことは許されないとされてきたのです。これは、天皇主権主義をとる大日本帝国憲法においては、必然的にそうならざるを得ない教育観でした。
 ところが、日本国憲法は、天皇主権主義を明白に否定し、国民主権主義、基本的人権尊重主義、永久平和主義という三大原則を確立しました。その結果、教育とは、国民の国家に対する義務ではなく、固有の権利であることが確認されたわけです。
 憲法第二六条一項は、次のとおり規定しています。すなわち「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じてひとしく教育を受ける権利を有する」と。憲法は、このように教育を子どもの権利として、つまり、自己成長し、発展し、人間性を豊かに開花させることを保障されるための権利として認めているわけです。

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生活保護法による教育扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない人に対して行なわれます。その扶助の種類は、次の三通りのものがあります。
 (1) 義務教育に伴って必要な教科書その他の学用品
 (2) 義務教育に伴って必要な通学用品
 (3) 学校給食その他義務教育に伴って必要なもの
(1)の学用品のうち、教科書については、現在、すべての児童に無償配布されているので問題になりませんが、その他の教材については、教科書に準ずる正規の教材のみが扶助の対象とされています。そして、この「教科書に準ずる正規の教材」とは、学校において当該学級の全児童が必ず購入することとなっている副読本的図書、ワークブック、および和洋辞書であるとされています。ただし、教材代として扶助を受けるに当たっては、学校長の「教科書に準ずる正規の教材」として指定した旨の証明が必要であるとされています。
(2)の通学費については、児童または生徒が身体的条件あるいは地理的条件のため、交通費を伴う方法による以外に通学する方法がまったくないか、またはそれによらなければ通学が極めて困難な場合には、その通学に必要な交通費が支給されます。また、学童が通学に際し、交通機関がなく遠距離のため自転車を利用する必要がある場合には、中古自転車の購入費が支給されることになっています。
(3)の学校給食費としては、父兄が負担しなければならない給食費の全額が支給されることになります。
 いずれの教育扶助についても、原則として金銭給付によって行なわれますが、金銭給付によることが適当でない場合や、保護の目的を達するために必要な場合には、現物給付によって行なうことができることになっています。この教育扶助のための保護金品は、児童、その親権者、後見人または学校長のいずれかに交付されることになります。
 ところで、小学校または中学校に入学する児童、生徒が、入学の際、学童服またはランドセル、もしくはカバンを購入する必要がある場合には、一定額の範囲内で、金銭を支給されます。これを入学準備金と呼んでおります。これは、原則として、金銭給付によることになっておりますが、現物給付によることが適当であると認められるときは現物給付によっても差しつかえないとされています。
 教育扶助の支給対象者の範囲は一般の生活扶助の場合よりも広くなっていますが、意外に活用されていません。
 東京都のある区の教職員組合が、区内の小中学生の家庭の生活実態を調査したところ、かなり多数の家庭が、教育扶助を受ける資格があるのに、それを受けていないことがわかりました。扶助を受けていない理由としては「そういう利点かおるのを知らなかった」「知ってはいたが子どもがはずかしい思いをするだろうと思って申請しなかった」というものが多く、これを重視した組合は、教育扶助を受けるのは権利であって何らはずかしいことではないことや、どういう場合にどのような扶助を受けられるかということを、児童の父母に啓蒙する活動を強めました。その結果、同区の教育扶助受給率は、他区よりも非常に高い数値を示すようになりましたが、このことは、いかに多くの人々が教育扶助を受ける権利を行使しないでいるかを物語っています。
 教育関係費で困っている人々は、担任の先生や、教職員組合、社会福祉事務所などに、はずかしがらずにどしどし相談するようにしましょう。

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生活保護法による医療扶助を受けるには/ 生活困窮のために教育扶助を受けるには/ 不当に生活保護が打ち切られたらどうしたらよいか/ 修正申告に応じたが、どうしても納得できない場合/ 不当な推計課税を受けたときにはどのような方法で対抗したらよいか/ 不当な税務調査に納税者が対抗するには/ 税務職員による違法調査の責任を追及するには/

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