妻が勝手に家電製品を買う契約書に印鑑を押した

 Aさんは、妻がかってにAさんの名前で買ってしまった、家電製品の代金を請求され弱っています。妻がかってにAさんの印鑑を押したのに、Aさんが代金を払わなければならないのでしょうか。
 一般原則からいえば、自分のまったく知らないところで、他人がかってに自分の名前を使ったとしても、その結果について、自分が責任を負わされることはありません。なんびとも、自分の意思にもとづいて、生じた結果についてのみ責任を負うというのが、近代法の原則なのです。ところで夫婦も他人には違いないからといって、この原則を貫いてしまうと、家庭の日常生活が実にやっかいなものとなってしまいます。

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 多くの家庭では、夫の収入のうえに消費生活を築いていますから、もし夫が逐一了解していなければ、夫に支払義務がないということになると、食料品にしろ家財道具にしろ、代金後払いで買うには、そのつど夫もいっしょに買いに行くか、または販売店から、夫の職場へ、いちいち確認電話を入れてもらわなければならないことになってしまいます。
 そこで法律は、このような日常の家庭生活に関するかぎり、夫婦間については、つぎのような特別な取扱いをすることにしています。
 第一に、日常家事に属する法律行為については、夫婦はお互いに相手を代理する権限を、法律上、当然に認められます。したがって夫婦は、日常家事行為であれば自分の名前でしてもよく、配偶者の名前でしてもよいのです。
 第二に、そのような日常家事行為については、夫の名前でされれば、夫だけが責任を負うということではなく、夫婦いずれの名前でされようとも、夫婦が連帯して共同責任を負うことになります。
 ここにいう日常家事行為とは、家庭生活を維持するために必要な通常の衣食住に関する行為、子供の養育に関する行為などを意味し、「健康で文化的な生活を営むために、通常必要とされる家事行為」といってもよいでしょう。
 そこで本問の場合ですが、Aさんは、支払義務を負うといわざるを得ないでしょう。家電製品も相当に普及していますから、その購入も、日常家事の範囲内に属するとみてよいと思われます。したがって本問の妻の行為は、有効に夫を代理してなした行為ということになり、夫婦が連帯して、その代金支払義務を負わねばならないからです。
 ただし、この家電製品の購入契約が電機店、デパートなど販売業者の営業所で締結されたものではなく、訪問販売のセールスマンを通じて、自宅で締結されたなどの事情がある場合は、割賦販売法、訪問販売法にもとづいて、契約した日から数えて四日間は、自由解約する余地があります。
 その場合は、契約書に解約の方法等が記載されているはずですから、Aさんとしては妻に苦言をはく前に、よくその契約書に目を通してみることでしょう。

家計と暮らし
妻が勝手に家電製品を買う契約書に印鑑を押した/ デパートから知人に贈った高級食材が腐っていた/ 買ったばかりのテレビが初めから故障ばかり/ 示談書に印鑑を押した後で後遺症が出た/ 交通事故の示談書に印鑑を押させるときの注意/ 悪質な示談屋に印鑑を押せと強要されている/ 失火について全額被害弁済するという念書に印鑑を押した/ 注文した礼服が式に間に合わなかった/ セールスマンに勧められて月賦購入契約書に印鑑を押した/ 通信販売の申込に印鑑を押したが粗悪品が届いた/

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