購入契約の解約

契約を解除するには、解除をする者に解除する権利がなければなりません。法律が解除権を定めている場合か、契約で解除できると定めている事由が生じたのでなければ解除できないわけです。ところで、百科事典の購入契約のような場合には、買主の方から、法律で定める理由以外の理由で解除することができると契約書に定めているようなことはありません。売主の方からの解除できる理由はくわしく定めていますが、民法では、百科事典のような動産の売買の解除について、相手方(売主)が契約を履行しない場合。契約を履行できなくなった場合。履行された目的物に発見できない瑕疵(欠陥)があった場合を解除できる場合として定めています。しかし、売主が百科事典を発行しないとか、届けてこないといったことは通常は起こらないことですし、また、かりに引き渡された百科事典に落丁や乱丁があったような場合でも、解除をするには、かわりの完全なものと取りかえろという請求、法律上の迫完の催告をしたのに、売主がそれに応じなかったときにはじめて解除できることになるにすぎないのです。このようにみてくると、一度、購入契約に印を押してしまったが心変りをして解約したくなったとしても、解約できないのが原則ということになります。ただ、次のような場合には例外的に解約できます。
百科事典の内容や契約の内容について詐欺となるような売り方をした場合とか、強迫によって契約書に印を押させたという場合には、被害者は、自分の意思表示を取り消すことができます。取り消されますと、契約は成立しなかったことになりますから、契約が解除されたのと同じ結果になります。しかし、実際には、売主の行為が詐欺や強迫となることはほとんど考えられません。セールスマンの詐欺的言動や強迫といったことはありますが、これを証明することは大変困難でしょう。

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家計と暮らし

店頭で現物を見て購入する場合には問題になりませんが、内容見本やカタログによって購入した場合に、その内容見本、カタログの記載と届けられた現物とが相違していれば、それを理由に契約を解除することができます。このことは、特に割賦販売の場合には契約書にも記載しておかなければならないものとされています。
割賦で百科事典を購入する契約に関する書類(申込書、契約書)に印を押した場合に、それが販売業者の営業所、代理店等以外の場所で印を押した、申込をした、または契約を締結したのであれば、そのような契約の申込を撤回したり契約を解除したりすることができます。これをクーリング・オフの権利といいます。ただ、そのような申込撤回または解除は、その権利があることを記載した書面を受け取った日から四日以内に書面で発信しなければなりません。そのような書面を発したかどうかが争いになった場合には、買主の方で証明しなければなりませんから、内容証明郵便で発送すべきでしょう。契約書によっては書留郵便でよいとしているものもあります。
契約は申込に対する相手方の承諾によって成立するものです。そして、承諾は、明示的に意思を表示しなくても、黙示でもできるとされていますが、特別の約束なしに、申込を受けた者が、その申込を承諾するかどうかの通知をしないことによって契約が成立したとすることは原則としてできないのです。商人間の売買の場合には特別な規定がありますが、例えば、売買の目的物である本を送りつけてきて、それを五日以内に返さなければ買ったものとみなすとの申込を受けても、それを送り返さないから売買契約が成立して、代金の支払義務を生ずるということにはなりません。
そこで、送られてきた本の後始末ですが、これを送り返す義務も、大切に保管しておく義務もないのです。ただ送り返して、その送料を申込者に請求することもできますが、送り返さない場合に、返してくれといってくれば返さなければならない義務はありますから、一応保管しておくことは必要です。特に注意して保管しておく必要はありません。また、その本を古本屋に売ったり、他人に贈ったりといった処分をすると、そのことによって黙示の承諾をしたものとされることになります。自分の物としたうえで処分したとみられます。
最初に送られた本は契約することを断っても見本としてもらえるが、返事をださないと次からシリーズとして送られて代金を支払わなければならないというかたちの申込があった場合にも、見本をもらったからといってそのような申込によっては拘束されないのです。ただ、そのような内容を前提とする申込の誘いに対して、第一冊目を送って欲しいという申込書に印を押して送り、第一冊目の本を受け取りながら断りの返事をださないと承諾があったものとされることになります。

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購入契約の解約/ 代金を送ったが品物が届かない/ 自動車を購入する契約/ 妻のした契約と夫の責任/ 代金未払いでの商品の引あげ/ 戸籍とは/ 氏名の変更/ 結納を交わしたが婚約を破棄/ 夫がした借金を妻が返済/ 夫の死後と夫の実家/ 離婚の際に決めなければならない事柄/ 離婚の無効/ 財産分与、慰謝料の請求/ 出生届と認知/ 子の養育費の負担/ 親権者変更の手続き/ 離婚後の子の姓の変更/ 親権者の財産管理権/ 離婚した夫の養育費の不払い/ 離婚後に子との面会を拒むとき/ 養子にすれば嫡出子になる/ 浪費家の子を勘当したい/ 乱暴な婿養子を絶縁したい/ 養父が死亡したので離縁したい/ 扶養義務者と扶養の順位/ 扶養料の増額請求/ 扶養料が支払われない場合/ 遺産分割と遺言/ 遺産分けを要求しないという書類/ 農地を長男だけに譲りたい/ 妻の寄与分/ 生命保険金と死亡退職金の相続/ 夫婦間贈与/ 兄が遺産の家を処分してしまった/ 夫の父と夫が同時に死亡した場合の相続/ 相続登記しないでおくと/ 遺産より借金のほうが多い/ 相続分無しという書類/ 遺言書を隠した者は相続資格を失う/ 遺言書のつくり方/ 道路工事の騒音振動で眠れないときは/ 隣人の失火で家が焼けてしまったら/ 子供同士のけんかで重傷を負わされたら/ 土地を収用するという書類に捺印/ 区画整理で家の敷地の一部を削るという通知があった/

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