銀行貸付の対象

銀行は、預金として集めた資金を貸付として運用するのが本来の業務ですが、といってだれにでも融資をするわけではありません。
 およそ営業として融資をするためには、利息の支払と元本の返済を確実にしてもらう必要がありますが、どういう点に着目して元利金の回収の確保をはかるかは融資機関によってちがいます。たとえば、質屋は確実な質物さえ持っていけばだれにでも貸してくれますが、これは担保物を返済資源とみて融資しているわけです。また、サラリーマン金融のような場合には、確実な会社に勤めていれば無担保でも貸してくれますが、これは債務者の将来の月給を返済資源とみて融資しているわけです。これに対して、銀行の場合は、貸した金銭を借主が事業資金として使用することによる収入を返済資源とみて融資をするのが原則です。つまり、事業資金の融資を建前とするところに、銀行その他の金融機関が行う融資の特微があります。なお、最近は、消費者金融のように、個人の将来の収入を返済資源として消費資金を融資することも行われるようになりましたが、銀行融資の大部分が事業金融であることに変りはありません。

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戦後、金融緊急措置令にもとづく金融機関資金融通準則によって銀行貸付の優先順位がきめられていましたが、昭和三八年七月に廃止され、法律上の制約はなくなりました。その後は、昭和四〇年七月に全国銀行協会連合会で「銀行融資に関する共同準則」を定め、自主的に節度ある融資をすることとしています。その主な内容は、次のとおりです。
 限界預貸率(一定期間内における預金増前額に対する貸出増加額)につき、一定の基準を定めてこれを厳守する。企業の自己資本調達比率に基準を設定し、企業側に対してその改善を促す。貸出にあたり資金 使途を十分把握し適正な条件をつける。各業種別の設備投資の調整に銀行も協力する。商社に対する貸出の場合には、投融資資金は自己資金によるようにする。
しかし、どのような貸付をするかは、結局、それぞれの銀行の経営方針に委ねられているので、各銀行とも、元利金の返済が確実で、預金の歩留り(預金残高に対する貸出残高の割合すなわち預貸率)もよく、将来発展する見込のある企業に貸したがるのは当然です。したがって、借りる側からいえば、元利金の返済をしてしかも企業の発展をはかるだけの確実な事業計画を説明できること、確実な担保を提供できること、が貸付を受けるための必要な条件となります。また、新たに貸付取引を始めようというときは、従来から預金取引もあってある程度の信用状態が銀行にわかっていることが前提となります。しかし、これは絶対のものではなく、銀行の方から取引を望んでいる優良な企業であればいきなり貸してくれる場合もあるでしょうし、救済融資のように従来の貸出先を救うために後向きの資金を貸すこともないとはいえません。また、金融引締で貸す資金が銀行にないときは、このような条件を満たしていても貸してもらえないこともあるわけです。
 消費資金を融資する場合、預金担保貸付と消費者金融の二つがあり、それは次の点で性格が異なります。
 預金担保貸付で、とくに定期預金の中途解約のかわりに同額を定期預金の期日まで貸すという場合は、預金者本人の意思が確認できる限り無条件に融資します。これは、実質は定期預金の中途解約と同じことであり、いわば現金を担保に貸すので、質屋と同じように資金使途や返済資源を問題とする必要がないからです。そして最近普及している総合口座は、この預金担保貸付を自動化したものです。
 一方、消費者金融には、資金使途の定めのない一般消費資金を融資する場合、自動車などの耐久消費財の購入資金を融資する場合、住宅ローンの三種があります。このうち一般消費資金については、パーソナルローンなどと呼んで制度的に行っている銀行もありますが、担保や債権管理の点で問題があり、一般にはカード会社の保証のもとに貸付を行うカードローンが利用されています。耐久消費財の購入資金の場合には、販売者が借入を保証するいわゆる提携ローンがほとんどで、この場合は、販売先がいいといえば、保証枠があるかぎり無条件に融資します。
 これらの消費者金融は、融資した資金とは無関係の、将来の収入で返済されるところに特徴があります。

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