親族間の不動産利用

親族間の不動産利用関係は、現実には様々な態様が存在するのですが、大体次の三つの類型に大別出来ます。第一は、世帯を構成する親族の一員が不動産を所有し、他の家族員がこれを利用する関係であり、第二は、家族の一員が他人から不動産を借用し、他の家族員がこれを利用する関係であり、第三は、これら以外の、即ち世帯構成員でない親族間に設定された、利用関係です。第一の類型は、所有不動産の世帯的利用であって、本来家族生活に含まれている所の、生活関係に外なりません。従って、不動産を利用させる者と利用する者との対立、分解は本来起らないのであり、契約を媒介とする利用関係と質を異にします。この関係を強いて個人間の関係に分解するとすれぱ、広義の扶養関係として捉えることができます。従って、かかる利用関係は、家族の分解によって、独立の、互に対立する利用関係へ移行し、ここで始めて利用関係をめぐる法律問題が生じます。第二の類型は、借用不動産の世帯的利用であって、第一類型と同じく、世帯内で利用関係は法律上問題とならず、専ら所有者との関係で問題となっています。例えば夫婦が結婚後の新居の為に家屋を賃借した後夫が別居したときの妻の占有権及び賃借権賃料不払による解約後の占有につき、妻も共同不法行為者となるかなどが問題となっています。その他、夫死亡後内縁の妻の家屋使用権がどうなるか、の問題も賃借権の相続と、居住権の保護との対抗をめぐって問題を提供しています。これら第一第二の類型は、いわば不動産の世帯的利用という側面を有します。従って家団論による法的処理が問題となり得るに対し、第三類型の利用関係は、世帯外の親族間で、対立ないし少なくとも独立した当事者によって設定される点で、他人間の不動産利用関係と外形的には同一のものとして現われます。この中には、全く他人間に設定されるような利用関係と、親族関係を基礎として成立する利用関係が存在します。

スポンサーリンク

家計と暮らし

不動産の利用関係が、利用に対して対価を支払う賃貸借契約と、対価のない無償の使用貸借契約によって設定されます。使用貸借という、利用に対する対価のない利用関係は、不動産権利者と利用者間の特殊な関係に基づいて設定される例外的なものです。つまり、無償で使用させるという法律関係は緊密な特殊関係のある者の間でないと成立しないものであり、その根底にあるものは、共同体的紐帯です。この無償使用を許す当事者間の特殊関係の一つが親族関係にほかなりません。親族間の不動産利用関係は、親族という共同体的紐帯を基礎として、所有者ないし不動産権利者が、対価の定めなく親族に利用させる点に主たる特長が見られるのです。徒って、かような無償使用の関係に適合する法的講成は、使用貸借に外ならないのです。従って、かような利用関係をめぐって生じる法律上の問題も、使用貸借に対して与えられる法的効果、使用借権に認められる法的保護の弱さなどの当不当の問題に帰着します。
使用貸借は、本来商品交換関係の外にある無償の利用関係であるゆえに、一般市民法上劣位の保護しか与えられません。例えば、契約関係の消滅が賃貸借より容易に認められること、貸主の担保責任の軽減借主の必要費負担など使用借人の地位は賃借人に比して劣っています。しかも、かかる保護の弱さは市民法上の扱いにとどまりません。それは、更に、賃借人の地位を強化して住宅難、生活難の救済をはかっている借地法、借家法等の社会立法から、適用を除外されることによって、社会法的な効果さえ否認されています。しかし、決して住宅難、生活難から自由である訳ではありません。むしろ家賃や地代も払えないか、居住難であればこそ、縁故関係にすがり、恩恵的に利用させて貰っていることが少なくありません。従って、利用する者と利用させる者との紛争あつれきがあるときには、裁判所は何らかの形で双方の利益の較量を行なわざるを得ず、対第三者関係でも考慮せざるを得ないのです。更に、かような利用関係は、共同体的な紐帯を媒介とするゆえに、権利義務の範囲を明確にするような契約によって設定されろものでない所の、すぐれて事実上の使用関係として現われます。従って、その法的処理にあたっては、使用貸借として取り出された法律関係を再び復元して、昔後にある共同体的な紐帯を評価し、考慮しつつ、妥当な結論を得るために使用貸借規定を解釈適用する必要に迫られます。

家計と暮らし
借地人の建物買取請求権/ 買取請求権制度/ 借家人の投下資本の回収/ 造作買取請求権/ 造作買取請求権の行使と結果/ 不動産賃貸借権の存続期間/ 宅地賃貸借の存続期間/ 地代・家賃/ 地代家賃増減額請求権/ 敷金返還債務/ 統制令の適用のない場合の権利金/ 賃借権の譲渡/ 賃貸人の承諾のない譲渡/ 賃貸借契約の解除/ 賃借権の相続/ 賃貸人の自己使用と明渡請求/ 賃貸借契約の利益比較の原則/ 社宅の使用/ 社宅使用の法律的性質/ 賃貸借契約の成立/ 親族間の不動産利用/ 親族の不動産利用の第三者の影響/ 家屋明渡の正当事由の存在時期/

        copyrght(c).家計と暮らし.all rights reserved

スポンサーリンク

プライバシーポリシー