地代・家賃

借地の対価としての地代および借家の対価としての家賃は、約定により決定せられる場合が普通ですが、法定されまたは法律によりその限度を決められる場合も多く、一度決定された地代、家賃の額は変更されることのないのが普通ですが、継続的関係においては、当事者の意思を超えた外部の事情の変更により、当初決定された額をそのまま雑持することが不合理と見られることがあります。ここで、事情変更の原則が適用されて、地代、家賃の増減額請求制度が設けられます。民法は、賃借物の一部滅失による減額請求権をみとめていますが、慣習にもとづく判例法を成文化した借地法一二条および借家法七条は事情変更の原則を正面からみとめて一般的に増減額請求制度を確立しました。したがって、借地、借家の期間中における自由地代、家賃の調節は借地法一二条、借家法七条を通じて行なわれることになります。このほかに、さらに特別の場合として、罹災都市借地借家臨時処理法一七条、土地改良法六○条、六二条、土地区画整理法一一三条、一一六条において増減額請求がみとめられており、さらに、統制地代、家賃の場合でも統制額の範囲で当事者の増減額請求は計されることになり、一定の場合には統制額の増減額を求めることもできます。

スポンサーリンク

家計と暮らし

地主、家主が取得すべき地代、家賃を確保する手段として、民法は動産の上に先取特権をみとめましたが、借地法は、地主のために、借地人が所有する建物の上に先取特権をみとめました。敷金も、同じく、地主、家主が取得すべき地代、家賃を確保する手段として支払われます。これに反し、権利金は地代、家賃の確保手段として支払われるものではなく、その性質は種々のものがありますが、借地、借家継続中の地代、家賃の一部の合計としてあらかじめ支払われる性質のものも認めうります。
社会生活が相対的に安定し、貸家業が軌道にのり始めた現段階では賃料増減請求をめぐる争いは増加の傾向にあり、今後の借地借家事件の重要な問題となってゆくであろうと予想されます。しかし、現行法の認める増減額請求制度には、解釈論上も立法論上もかなり問題を包蔵しているので、我々は判例法により促されて成立した現行制定法が、運営上、さらに判例法と絡み合いつつ展開されています。もともと、継続的関係は借地の場合が多かったので、増減額請求制度は借地関係において判例法の形成される部分が多かったといえます。しかし、戦後の住宅事情の厳しさは借家関係において、増減額請求についての多くの判例を生んで来ました。
地代、家賃が決定された時と増減額請求がなされた時との間に相当の期間が経過していることとの程度の期間の経過をもって相当と認めるかは、公平の理念に立脚し、期間の長短のみではなく経済の変動とにらみ合せて具体的に判断するほかはありません。借地事件の場合、否定した事例、肯定した事例があり、借家事件の場合も、否定した事例、肯定した事例があり、判例もまちまちです。
地代、家賃が決定された時と増減額請求がなされた時の経済事情に変動があること。借地法一二条にしても、借家法七条にしても、土地または建物に対する公租公課の増減、土地又は建物の価格の騰落、比隣地代又は比隣家賃との比較を例示していますが、これらは例示にすぎないのであって、これらの例示された具体的基準のみならず、その他の場合も含めて地代、家賃の額を決定する一切の経済事情が増滅額事由になるものと解されます。しかし、公租公課の増減をはじめ起りうる種々の具体的事情も、究極には上地又は建物の価格の騰落とそのことに起因する比隣地代又は比隣家賃との比較にしぼりうるので、判例もこの両者の基準で判断している場合が多い。しかし、増減額事由となる経済事情の変動は、かならずしも土地建物の所在する地域一帯にかかわるものでなくてもよく、その借地、借家につき両者の事情でも差し支えがありません。例えば、営業用借家について電話の架設、使用を条件として賃料がきめられた場合、電話の架設がなく一年以上経過したことは減額事由となります。経済事情の変動は、地代、家賃が約定であれ、調停であれ、また増減額請求に基づく裁判であれ、確実に決定された時以後におけるものでなければならないため、決定の時における地代、家賃の額が近隣に比べて不相当に高額又は低額であっても、決定の後に経済事情の変動がない限り、増減額請求はゆるされません。
増滅額事由となる経済事情の変動は当然民事訴訟法の原則にしたがい、増減額請求者が主張しかつ立証しなければなりませんが、増減額事由の存在が公知なる場合には、民訴法二五七条により、裁判所は当事者の立証をまたなくとも増減額請求権の存在を認定できます。なお、地代家賃統制令には統制額を破る場合増減額の認可申請事由が明記されています。それによると増額の場合は、1、借地について改良工事がなされたとき、または借家について改良工事もしくは大修繕と認められる工事がなされたとき、2、停止統制額が縁故関係その他の特別の関係があったので著しく低額であるとき、であり減額の場合は、1、附近類似の借地または借家の地代または家賃に比較して地代または家賃が著しく高額であるとき、2、貸主が借地または借家の維持に必要な措置を怠るなどの事由により借地または借家が不良となったとき、とされます。
増減額請求権が行使された時に、従来の地代、家賃が不相当となっていること。経済事情の変動のもとで、徒来の地代、家賃で当事者を拘束することが、公平の理念からみ不合理であることが必要です。よって公租公課の増減があっても、従来の地代と客観的相当地代との間に平衛を失っていなけれぱ、当事者は地代の増減を請求できません。しかし、統制家賃について修正率の改訂があった場合には、従来の家賃は不相当になったものというべきであり、賃貸人は修正統制額までの値上げ請求権を有します。

家計と暮らし
借地人の建物買取請求権/ 買取請求権制度/ 借家人の投下資本の回収/ 造作買取請求権/ 造作買取請求権の行使と結果/ 不動産賃貸借権の存続期間/ 宅地賃貸借の存続期間/ 地代・家賃/ 地代家賃増減額請求権/ 敷金返還債務/ 統制令の適用のない場合の権利金/ 賃借権の譲渡/ 賃貸人の承諾のない譲渡/ 賃貸借契約の解除/ 賃借権の相続/ 賃貸人の自己使用と明渡請求/ 賃貸借契約の利益比較の原則/ 社宅の使用/ 社宅使用の法律的性質/ 賃貸借契約の成立/ 親族間の不動産利用/ 親族の不動産利用の第三者の影響/ 家屋明渡の正当事由の存在時期/

        copyrght(c).家計と暮らし.all rights reserved

スポンサーリンク

プライバシーポリシー