融資の種類

貸付は、物的担保をとって貸し付けるもの(担保付貸付)、人的担保(保証人・連帯債務者)を得て貸し付けるもの(保証貸付)、物的担保も人的担保もとらないで、もっぱら相手方を信用して、つまり、借主の一般財産だけを担保として貸し付けるもの(信用貸付)があります。
金融機関の貸付には、信用貸付ということは例外です。例えば、信用金庫や信用組合が組合員に貸す場合、銀行でも大企業に短期の融資をする場合、商業手形の割引において振出人の信用、依頼者の信用がともに高い場合が、これに属します。むしろ、逆に、物的担保と人的担保の双方を要求する場合さえ少なくありません。問題は、どのような場合に人的担保で済むか、ということです。人的担保で済む代表的な場合をあげると、それは次のとおりです。中小企業金融公庫の貸付では、信用保証協会の全額保証があれば、他の担保、保証は軽減または免除することができる取扱いで、国民金融公庫の普通貸付、更生資金貸付、特別小口貸付、中小企業金融公庫の小口貸付も、保証人だけでよい取扱いのようです。
金融を得る方法には、消費貸借または準消費貸借の形をとるものと、売買の形をとるものとがあります。銀行実務では、支払承諾も与信事務のひとつとして取り扱われているようです。売買の形をとるのは、いわゆる手形の割引です。消費貸借の形をとるものは、あまり理論的な分類ではありませんが、口座の貸付、証書貸付、手形貸付、当座貸題、コールローンに分けられます。

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家計と暮らし

口頭の貸付

口頭の貸付は、友人や親族どうしの貸借に見られるもので、金融機関の貸付では見られません。口頭の貸付でも法律上無効だというわけではありませんが、裁判になった場合に事実上困ることになります。

証書貸付

証書貸付という言葉に耳馴れないひとは少なくないとおもわれますが、銀行では、手形を徴して行なう貸付(手形貸付)に対して、借用証書を借主から徴して行なう貸付のことを、証書貸付といいます。もっとも、実際には証書と手形の双方を徴して貸し付ける場合も少なくないようです。この場合のなかには、証書貸付でありながら手形をとるもの(手形併用証書貸付)と、手形貸付でありながら証書をとるもの(証書併用手形貸付)とがあります。前者の担保は普通抵当、後者の担保は根抵当、であることが多いようです。
純枠の証書貸付と純枠の手形貸付とでは、利息のとり方その他の点で差異があり、いずれの点でも、手形貸付の方が貸主にとって有利なので銀行では、純枠の証書貸付は、特殊事情のある場合にしか利用されていないもののようです。
証書貸付の場合には、銀行は、銀行取引約定書のほかに金銭消費貸借契約証書を徴するのですが、抵当権の設定を伴うときは、抵当権設定契約を兼ねた契約書を作成します。
金銭消費貸借契約証書には、私署証書の場合と公正証書の場合とがあります。公正証書の方が貸主にとって有利ですが、そのかわり費用もかかり、手続も面倒です。つまり、私署証書なら、その場で認印を使って作成することもできますが、公正証書を作成する場合は、様々なの書類をそろえ、実印を持って、わざわざ公証人役場に出頭しなければなりません。書類としては、本人出頭のときは印鑑証明書が、代理人出頭のときは、ほかに、委任状と代理人の印鑑証明書 が必要です。このように手続きが面倒なためか、銀行などではあまり利用しないようです。

手形貸付

手形貸付は、消費貸借契約証書を徴するかわりに手形を振り出させる方法であって、銀行の短期融資に愛用されています。銀行の場合では、銀行取引約定書をあらかじめ徴しておき、具体的融資に際して、借主を振出人、銀行を受取人とする約束手形を差し入れさせるのです。そして、通常は手形の割引と同じょうに、利息を前取りしますし、また、書替のときも、おどり日歩といって、旧手形については満期日の利息として、新手形については取引日の利息として、要するに書替日の利息を重複してとることが商慣習として認められています。そのはが、手形貸付には、証書貸付に比べ、貸主にとって有利な点が多いのです。
利息を前取りする点は、手形割引に準じているわけですが、手形貸付と手形割引きとでは、法律上の性質が違うものと考えられています。つまり、手形貸付は消費貸借による債権を確保するために手形を授受するものであるのに対して手形割引は、商取引その他の原因にもとづいてすでに作成されている手形を売買するものと考えられているのです。

当座貸越

当座貸越は、銀行と顧客とのあいだに結ばれる当座勘定取引という契約に付随してなされる契約で、顧客がその銀行に小切手支払いの資金としてあずけた当座預金の残高を越えて小切手を振り出した場合に、銀行が一定の限度まではその小切手につき支払いをする旨を約束するものです。その法的性格は複雑ですが、ともかく金銭貸借的要素を含むことは否定することができず、銀行では貸付の一種として取り扱っています。

コール取引

コール取引は、主として金融業者間に行なわれる、きわめて短期の貸付です。

手形割引

手形貸付は、法律上は手形の売買と考えられていますが、経済的には一種の与信行為であって、広い意味での貸付のなかに含まれるのです。手形の割引というのは、まだ満期(支払日)の来ない手形を銀行へ持って行って、手形を譲渡し、そのかわりに、満期日までの利息相当額を差し引いた金額をもらう、という取引をいいます。割引依頼人の方からは、割引金額を返して手形を取り戻すことはできませんが、銀行の方からは、手形の主債務者の信用が悪化したような場合には、割引依頼人に対して買戻しを請求することができます。

融資義務の在否

貸借の約束だけで金銭を交付する義務が発生するか、つまり、諸成的消費貸借が認められるがどうかについては、問題がありますが、近年の学説は諸成的消費貸借を認めており、下級審判決のなかには融資義務を認めるものが現われています。たとえ諸成的消費貸借を認めないとしても、消費貸措の予約はすでに民法五八九条によって認められており、これは実質的には融資義務を認めるものといえます。このような融資義務があるがどうかが実際上問題となるのは、貸出が数次にわたって行なわれる可能牲のある場合です。それは、分割貸付、限度貸付・極度貸付の場合です。

分割貸付

分割貸付は普通なら融資額を一時に交付すべきところを、借主の事業の性質上数次に分割して交付する場合です。この場合には、融資義務は確定しているわけで、将来金銭を交付すべき部分についても、諸成的消費貸借契約が成立していることになります。ただ、借主の信用が急速に悪化した場合等には契約を解除することができる権利を、金融機関が留保するのが通常のようです。分割貸付の場合の抵当権は普通抵当です。

限度貸付

限度貸付は総貸付額の限度を定め、借主の必要に応じ分割して貸し付ける方式ですが、銀行の都合で限度額の減額、取引中止、契約解約をすることができる旨の特約がついていて、銀行の融資義務の薄弱な点が、分割貸付とちがいます。このように、限度貸付では、貸付額が確定していないので、将来一定の時期に借主が債務承認をして債権額を確定させるのが通常です。また、限度貸付は途中で弁済があっても貸付総額は変わりません。例えば、1,000万円を限度とする限度貸付で、500万円、300万円借りたとすれば、200万円弁済したとしても、残りは200万円で、これを越える額を借りることはできないのです。この点が極度貸付と違います。抵当権をつける場合も極度貸付の場合とちがって普通抵当でよいのです。

極度貸付

極度貸付は、銀行と顧客とのあいだで、あらかじめ極度額を定め、貸付総額ではなく、現在高がその極度額を越えないかぎり、顧客の申出に応じて貸し付ける場合です。この場合の抵当権は根抵当権になります。極度貸付のなかにも種々のものがあるようです。当座貸越は、極度額までの融資義務を銀行側が負う場合といえます。手形取引や銀行取引で根抵当権つきで極度貸付をするのですが、銀行側が、その取引について極度額の減額、取引中止、契約解約の権限を持つ旨を定め、銀行の与信義務が薄弱なものもあります。近年では、銀行は、この薄弱な与信義務さえも避けて、根抵当権の被担保債権の極度額を定めるだけで、融資についての極度額は定めないものも行なわれるようになっているようです。

単独融資・共同融資・協調融資

融資には、一つの銀行が単独で融資する方式のほかに、数行が共同して一個の契約で融資する方式(共同融資)、数行が融資金額、融資条件などを協定するけれども貸付は個々の銀行が行なうという方式(協調融資)があります。共同融資では、資金が一旦幹事銀行に集中するために、幹事銀行でない銀行が不利益を受けることなどの事情から、現在では、協調融資の方式が行なわれています。

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