法的な貸金の取立て

金銭の貸借はもともと貸主と借主との信頼にもとづいて成立するものであるため借主は返済期日がきたときは、これを速やかに返さなければなりません。それが義務であるに、どうしても支払わない、返してくれないとなったら、貸主は自分の権利を守るために法の力を借りて解決をはかることになるわけです。裁判の結果については双方ともその判決に忠実にしたがわなければなりませんが、しかし裁判になったからといって必ずしも白黒をハッキリつけなければならないというものではありません。和解や調停でもよいのです。むしろ和解、調停による解決こそ法の推奨するところであるといえるのです。民事の訴訟には、判決手続きと強制手続きとがありますが、判決手続きをするに先だって、簡易な取立て方法としては支払い命令があります。また訴訟手段に入る前に、簡易裁判所でする即決和解手続きをとるのも一つの方法であり、強制執行を行なう前にも執行保全手続き、つまり仮差押えと仮処分の制度があります。以上のこととは個別に裁判所でおこなう調停制度もあります。調停は裁判や事件処理について、社会経験の豊かな人たちが調停委員となって仲に入り、双方の意見を十分に聞きとったうえで、話し合いによって和解させようとするものです。

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簡易裁判所の場合は、口頭で訴状を申したてることができるようになっていますが、しかし実際の裁判においてはいろいろと不便なことがあるため、この場合もできることなら口頭ではなく訴状を提出する方がよい。訴状には、だれが、だれにたいして、どんな理由によって、どんな請求をするか、ということをハッキリと表現しなければなりません。つまり請求の趣旨、請求の原因について記載しなければならないのです。
事件の当事者および法定代理人の表示。当事者というのは訴える人、訴えられる人で、貸主と借主のことであり、法定代理人とは、未成年者や禁治産者などで本人が訴訟行為がゆるされない場合に、その人を法律上代理する人、つまり親権者とか後見人のことです。
請求の趣旨。原告、つまり訴える人は裁判においてどんな保護をもとめるか、貸したお金をとりたてることなどをハッキリと記載します。
請求の原因。なんの請求をするために訴えたかという、請求することになった原因を記載しますそして付属書類を添えること。
訴訟は通常一対一で行なうのが原則ですが、原告がいくつかの請求を一人の被告に対して出すこともあり得ます。例えば売掛金と貸金の二つの債権を一つの訴えによって請求することもできるのです。また原告が一人で、数人の被告を相手とする場合もあり、これとは逆に原告が数人で、被告が一人の場合もあり得ます。こうしたやり方は当事者の費用を省くためにも、また裁判の手数を省くためにも有用であるといえます。
裁判所は、事件の進行中であっても、その事件が当事者双方の和解によって解決できると判断したときは、当事者双方に和解をすすめます。つまり勧告することがあります。この和解には裁判による場合と、それ以外の場合の二つがありますが、いずれにしてもそのねらいは当事者がゆずり合ってトラブルを円満に解決するところにあるのです。また、裁判による和解にも二つの場合があります。それは裁判の途中でおこなわれる和解と、事件の訴えを裁判までもち込む以前の、簡易裁判所でおこなう和解であり、前者は和解によって進行中の裁判をおわらせることができ、後者は裁判以前に当事者が和解することによって事件の解決をはかろうとするものです。裁判上における和解は、訴訟のうえでもその効果が保障されており、和解による記載調書は、裁判においての確定判決とおなじ効果があるのです。和解は強制的ともいわれる裁判に比べて事件の解決も早く、なごやかな雰囲気のうちにおこなわれるものであるため、事件の解決にあたって好もしい方法といえるのです。和解は原告と被告が法廷で争うことをやめ、おたがいにゆずり合うことによって事件の解決をはかるものであることはいうまでもありませんが、そのためには次のようなことが守られなければなりません。
1. 裁判における和解は、事件をとり扱っている裁判所の、それを担当している判事の立ち合いのもとですること。
2. 和解のための内容は、その事件の解決に役立つ内容であること。つまり単に訴訟をとりやめようなどというだけでは和解の内容としては不十分です。
3. 和解の内容は、双方がそれぞれの立場をともにゆずり合うものであること。例えばどちらかの一方が相手のいい分に対して全面的に従う、というのでは和解になりません。
4. 和解は双方の話し合いでまとまることを成立の要件とするために、双方のあいだの話に食違いがないこと。
以上の要件が守られなければ、裁判上の効果はないことになります。
次に和解による解決は裁判における確定判決とおなじ効力がありますが、それだけにこの和解調書に執行文をつけることによって強制執行をすることもできるのです。ただし、そのためには、当事者である原告と被告は、和解能力をもっていなければならないこと。もし代理人をたてて和解するときは、その代理人は正式の代理権をもった人でなければならず、代理人が委任されて和解するためには代理人はその委住状をもっていなければならないこと。
和解の内容は、社会の公序良俗に反するものであったり、法現に触れるようなものであってはならないこと。これらの要件が欠けていてはならないのです。
和解は、法廷での口頭弁論日、または事件訴訟の準備手続きの日、あるいは和解を勧告されたとき、あるいはまた和解のこころみがなされたときに、当事者である原告と被告が口頭で判事にその旨を申立てればよい。和解するにあたっては当事者が下相談したり、また裁判所以外の第三者が仲介の労をとってもかまいませんが、いずれにしても裁判所へ申し立てるときは双方の話が一致していなければなりません。和解は、裁判の進行に関係なく、これをすることができます。したがって判決直前でもできるわけです。和解が成立したらこれを調書に記載しなければなりません。また口頭弁論によって成立したときも口頭弁論調書に記載しなければならないことになっています。
調書は裁判所でつくられますが、調書がつくられる、調書ができたということは、和解が成立したことを意味するのです。和解が成立すると、もはや判決のいい渡しはありません。また和解の成立したあとで期日の申立て、その他の訴えをおこしてもそれは却下されます。
和解調書に書きこまれたうえでの法的な訴えはゆるされません。その理由は和解調書はそれが完成すると確定判決とおなじ効力をもつからです。
ただし、調書に書かれていることが全額または物の具体的な引渡しに関する場合、当事者である原告と被告の一方がもし相手がその約束をはたしてくれないときには、これを債務名義として強制執行をすることができますが、このときは公正証書と同じようにあらためて強制執行認諾約款などといったものは必要としないのです。
即決和解とは、どんなことかというと、まだ事件を正式に裁判所へ起訴するまえに双方が和解することです。いうならば裁判以前におこなわれる当事者のあいだの和解なのです。この即決和解は、当事者双方が裁判所へ出向いて和解のための申したてとその陳述をすることによって、即座に和解が成立することから、こうよばれているもので、即時和解ともいいます。即決和解の最大の利点は、なんといっても事件の解決が簡単であること、経費がほとんどかからないこと、しかもそのうえ債務名義を取得できるなどの諸点です。
和解の場所はどごかというと、相手方の所在地の簡易裁判所であり、そこへ申したてることになっています。申したては書面でも口頭でもかまいません。申したてには、事件の原因と和解するための条件をハッキリと示す必要があります。申したて書には一定の印紙を貼ることになっています。
申したてを受理した裁判所は、和解する期日をきめて申したて人とその相手方を呼び出しますが、このとき、当事者は一緒に出頭して訴状についての口頭弁論をすることになるわけです。その結果和解が成立すれば、裁判所はそのことを調書に記載し、これで和解は終わることになります。和解が不成立におわったときはどうするかというと、当事者のどちらか一方が事件を訴訟に移すことができるのです。この申したてがなされると、裁判所ではただちに訴訟としての口頭弁論を命じることになるのはいうまでもありません。
裁判における判決は、裁判所の最後の判断ですが、この判決は、判決書がつくられて、その内容を原告と被告にいい渡すことによって効力を生じることになります。
判決の主支は、裁判長がこれを朗読することになっています。裁判所は、一度下した判決を勝手に修正したり、あるいは変更したりすることはできません。判決に不服である場合は当事者のどちらかが二週間以内に控訴しないと、その判決は確定したことになります。一度判決が確定すると、当事者はその事件について再び裁判所に訴え出ることはできず、裁判所も、これを許すことはできません。被告に対して支払いを命じる旨の判決が確定したときは、執行力がうまれますが、この執行力は、判法できまったことを、国家が強制的に実現させることのできる効力です。執行力がうまれると、仮執行の宣言をつけた判決は、確定前にすでに執行力をもっていることになります。

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