貸主が借用証書を返還しない場合

借金を返済すれば当然のことながら債権は消滅します。借主が契約による約束の期限までに一万円でも千円でも金額は問わず、とにかく借りた金額を貸主に返済すれば借金は返せたことになります。借主以外の第三者も返せるかどうかでは、借金を返すにあたっては、原則として借りた人以外の第三者でも返すことができることになっているのです。当事者である貸主と借主がこの第三者の返済に反対の意思を表明したときは、そのかぎりではないとされています。そして、この第三者の返済に対する反対の意思表示は、少なくとも第三者が借金を返済する以前に表明しなければなりません。第三者で返せる人というのは、物上保証人とか担保不動産の第三取得者といった人達であって、借金の返済についての法的な利害関係をもっている第三者ですが、この人たちは借主の意思に反しても借金を返すことができるのです。ということは保証人や連帯債務者、または債務引受け人などは第三者とはいっても、借りた人の借金を返済する義務があるからです。この利害関係のない人、つまり金銭貸借に直接なんの利害関係もない人は、当事者の意思に反して借金を返すことはできないことになっています。

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借金を返済する場所は金銭貸借においてその返済の場所を契約書のなかにハッキリと記載しておくことはいうまでもなく大切なことであり、またおそらくそれの抜けている契約書もないでしょうが、返済の場所は、原則として、貸主の住所地または営業所ということになっているはずです。また、貸主が住所を変わったときは新しい住所、債権が他人に譲渡されている場合は、その譲受人の住所が返済の場所になるのはいうまでもありません。
借主が貸主に借金を返済するのは原則ですが、その場合、借主が借りた金額を返そうとするとき、貸主はその計算違いから返済金額がいくらか不足していても返す人の心をくんでその金額を受け取るべきだ、という大審院の判例があります。これは借主を保護する法の立場からといえます。一体金銭貸借においては、善意の借主を保護することに重点がおかれているからです。次に借主が返す金額をもって貸主の住所へ行った場合、貸主が不在であったために借りていた金額を返すことができなかった、という場合は、法的に返済の提供があったものとみなされることになっています。また、返済を郵便為替証書、または振替貯金払出証書でした場合も返済があったものとみなされます。ただし小切手の場合は、その返済が前もって了解されているか、あるいはそれまでの当事者側の慣習がないかぎり、現実に返済の提供があったものとはみなされないため注意が必要です。
なお、貸主が前もって受け取ることを断ってきた場合は、そのときは、借主は返すお金の準備はすでにできているということを相手方に通知して、その催告をすることによって返済の提供があったものとみなされるのです。そして、このお金は必ずしも現金をもってしなければならないというものではなく、銀行などで返済するだけの借りうけの予約ができていればよいことになっており、要するに貸主が貸した金額を受けとれるように準備しておけばそれでよいわけです。
受取証書は、借主が貸主にお金を返したことを証明するものであることはいうまでもありませんが、受取証書を持っている人が、かならずしも返済金を受けとる人とはかぎりません。しかし証書をもっている人を権限あるものとはしています。返済が有効であるためには次の要件を満している必要があります。
受取証書を持っている人が、債権者つまり貸主に返すのと同じ意味である確心がなければなりません。
受取証書は本物でなければなりません。偽物であった場合は、その受取証書をもっている人が準占有者でないかぎり、その人に金を返しても、返したことにはなりません。つまり返済の効力がないことになります。受取証書は、要するに借りていた金額を確かに返したということの証明であり、証拠書類ですが、これはかならずとることです。もし受取証書を貸主がくれないときは、これを請求することができます。また、返したお金が全額でないときは、その一部返済であることを、証明する受取証書をもらうことで、この場合も、もし相手方がそれを渡さないときは、それを請求することができることになっています。決して遠慮する必要はありません。
貸主は借用証を返すことになっています。したがってもし、この借用証書を返してもらわないでいれば再び同じ請求をされないともかぎりません。つまり、借用証書と受取証書とは全然別個のものなのです。受取証書をとったのだから、借用証書など返してもらわなくとも安心だなどと思っているととんでもないことになります。お金を返したときは受取証書と一緒に借用証書も返してもらうことです。でないと、あとでトラブルのもとになる可能性もあります。

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