生命保険と税制

 生命保険の特徴のひとつとして、税金と密接な関係にある、という点があげられます。実際、他の金融商品と比較してみても、生命保険は国家の後ろ盾を得ているが如く、加入期間中も受領の際も、さまざまな税全面での優遇策が準備されています。それ故に、特に法人契約においては、保障内容そのものよりも、節税効果を全面に打ち出しての営業が行われてきたことも否めません。
 例えば、法人が社長を被保険者として一定の条件で長期平準定期保険に加入した場合、一定の期間は保険会社に支払った保険料の半分が経理上資産となり、残りの半分は保険料として損金で処理します。
 換言すれば、保険料として損金経理された金額に対する税額分の利益が繰り延べられたことになるのです。

スポンサーリンク

 よく「保険で節税」という表現が使われますが、正しくは、「税の繰り延べ」です。解約した際は、それまでに繰り延べされた利益が表に出てきますので、そこでは保険の解約返戻益(雑収入)として処理され、課税対象となります。
 ただし、通常は、役員や従業員の退職金が発生する年やその他の支出に合わせて益出しが行われますから、帳簿上は「入りと出」が重なり、損益の平準化がなされます。
 このように税金とは切っても切れない関係にある生命保険ですが、ここにきて、変遷の波が訪れていることも事実です。昨今、相続対策として広く活用されてきた相続税法弟24条の廃止や、法人契約での逓増定期保険やがん保険の全額損金算入の見直しなど、「いつかは」「そのうち」と言われてきた生命保険契約に係わる税制改正が段階的に行われはじめています。現状は飛び抜けて優遇性の強かった制度にメスが入ったというところでしょうか。
 変化の訪れは人間の心理に響きます。特に会社のオーナーは時代の変遷に敏感です。最近、企業経営者からの保険の見直し相談が増えていることもその現れでしょう。ほとんどの企業経営者に共通して言えることは、加人中の保険について、内容の詳細まではほとんど関知せず、税金処理の部分だけ把握している、という点です。
 では、企業にとって生命保険は税金対策だけを担うものなのか、というと決してそうではありません。企業防衛や退職金準備、事業承継対策など、企業が利用する生命保険はさまざまな顔を持っています。ただし、そのニーズを顕在化させるためには、5年先、10年先までの業績予測や経営計画など、綿密なプランニングが必要です。
 生命保険に係わる税制改正は、改正前に加入していれば、改正後も同条件が継続できる場合と、改正時点で全てがクリアになるものとに分かれます。平常から、生命保険の種類や商品の特徴を把握しておくことで、改正に負けない柔軟な処理をフレキシブルに行えるよう、準備しておくことが大切です。

家計と暮らし
生命保険と税制/ 生命保険会社の推移/ 保険商品の推移/ 個人を取り巻く環境の推移/ 金融市場の推移と資産の運用/ 生命保険会社を選ぶ/ 生命保険会社が破綻した場合/ 生命保険の貯蓄型と掛捨て型/ 保険商品の多様化/ 死亡保険の割引制度/ 保険契約者と被保険者/ 生命保険自動振替貸付制度/ 生命保険契約の失効と復活/ 生命保険の転換制度/ 企業防衛としての保険活用/ 福利厚生としての保険活用/ 退職金原資をつくる保険活用/ 相続・事業承継対策への生命保険の活用/ 緊急時の資金としての生命保険活用法/ 企業防衛策の一環としての生命保険/ 福利厚生策の一環としての生命保険/ 節税対策としての生命保険/ 退職金原資の準備としての生命保険/ 相続・事業承継対策としての生命保険/ 働けないリスクと所得補償保険/ 個人金融資産の所得移転と生命保険/ 家族の生活保障の考え方/ 進む保険の見直し/ 学資準備を考える/ 医療への備え方/ 死亡保障と資産形成/ 税金還付が期待できる積立手法/ 多様化する団信と保険の見直し/ 保険料の支払/ 生命保険料控除/ 死亡保険金と税金/ 個人年金保険と税金/ 暦年贈与を利用する/ 贈与契約書を作成する/ 事業承継に先立つ相続対策/ 父親の退職金準備/ 相続税対策/

        copyrght(c).家計と暮らし.all rights reserved

スポンサーリンク

プライバシーポリシー