ローン・クレジットの発展

 現代社会には「クレジット」とか「ローン」という言葉が氾濫しています。クレジットとは、もともと「信用」という意味であり、広く販売信用と消費者金融を合む「消費者信用」の意味でクレジットという言葉が用いられることがありますが、ここでは商品を買ったりサービスを受けたりするとき、支払いを延べ払いにしたり、分割払いにすること(販売信用)をクレジットと呼ぶことにします。これに対し、金銭の貸借(消費者金融)をローンと呼ぶことにします。
 一九六〇年一月に、月賦専門店の丸井が、「月賦」という用語をはじめて「クレジット」と呼び変えました。
 またこの年、日本ダイナースクラブが設立され、わが国ではじめて本格的なクレジットカードの発行が始まりました。
 さらに、同年東京と神戸で「団地金融」が始まり、これはその後サラリーローン(サラ金)として発展することになります。銀行が消費者金融に乗り出したのも、メーカー系クレジット会社が設立されたのも一九六〇年です。
 このように、一九六〇年はわが国の「クレジット・ローン元年」「消費者信用元年」と呼んでもよい年です。
 この年、池田内閣が「所得倍増計画」を打ち出し、日本経済が高度成長期に突入します。一九六〇年以降、高度経済成長のもとで、「3C」と呼ばれた自動車、カラーテレビ、クーラーなどの高級耐久消費財の大量生産、大量販売、大量消費時代に入り、クレジットやローンが急速に発展していきました。

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 一九九八年中における販売信用(クレジット)の新規信用供与額は、約三三兆円、消費者金融(ローン)の新規信用供与額は約四三兆円となっています。販売信用と消費者金融をあわせた消費者信用の新規信用供与額は約七六兆円に達し、これは同年のGDPの一五・三%を占めるに至っています。消費者信用は、現代日本の一大産業分野となってきているのです。
 また、一九九九年三月末にクレジットカードの発行枚数は二億四五〇〇万枚を突破しており、わが国はカードが氾濫する「カード社会」となっています。
 クレジットやローンの消費者信用産業が発展する中で、その影の部分として、自己破産や多重債務者が急増し大きな社会問題となっています。
 これらの消費者被害が発生する原因としては、消費者信用業者側の過当競争による無差別過剰与信、高金利・高手数料、厳しい取立て、消費者側の知識の不足や考え方の安易さおよび、わが国における消費者信用関係の法律の不備などが考えられます。
 消費者信用取引を規制する法律として、アメリカなどには「消費者信用保護法」のような統一的包括的な規制法がありますが、わが国にはこのような統一的包括的規制法はありません。
 わが国には、クレジット取引の規制法として「割賦販売法」があり、消費者金融取引の規制法として、「貸金業規制法」「出資法」「利息制限法」「銀行法」などがあります。
 しかしながら問題点が多々あります。
(1)クレジット取引を監督する官庁は経済産業省であり、消費者金融取引を監督する官庁は財務省であるというように監督官庁が異なる縦割り行政による弊害があること
(2)クレジットの手数料には利息制限法や出資法が適用されないこと
(3)過剰与信に対する処罰規定がないこと
(4)クレジットカード取引に関する規制法がなく、クレジットカードの全員規約においては会員(消費者)が著しく不利な立場におかれていること
(5)多発している「集団クレジット被害事件」などで問題となっている名義貸や空売り事件その他悪徳商法と結びついたクレジット被害事件などにおいて、販売業者(加盟店)とクレジット会社の連帯責任を認める規定が置かれていないこと
(6)銀行法には消費者保護規定がほとんどないこと
(7)消費者リース取引に関する規制法がないこと
 など、わが国の消費者信用取引を規制する法律は、まだまだ消費者の権利が十分に認められているとはいえず、多くの不備、欠陥があります。

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