督促手続き

 民事上の紛争を解決するためには、訴訟、支払命令、調停、起訴前の和解など各種の手続規定が設けれていますが、これらの制度を利用しようとするものは、それぞれの特色を考え、事件の実情に応じて最も適切な手続を選ぶことが大切です。すなわち、債務者が金借したことを認めながら、支払わないというように、債権者の言い分自体について債務者が争わないであろうような事件については支払命令制度を利用するのが最も実効があるわけで、債務者が債権者の言い分を争つているような場合には普通の訴訟を起こしたり、お互いに話合いで争いを解決するためには、調停を申し立てたりする方が適切であるといえます。

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 支払命令の申立てから、終結に至るまでの一巡の手続を民事訴訟法上督促手続と呼んでいます。支払命令の制度というのは、普通の訴訟手続によらないで、判決と同じように金銭などの支払を命ずる裁判所の命令、すなわち支払命令を得るために認められている特別の制度です。この手続によると、債権者が簡単な方法でしかも少ない費用で、時間をかけずに裁判所から命令をもらって、この命令に基づいて強制執行をすることができるから、債権者にとっては大変便利な制度ということができます。
 ただ、この支払命令の手続というのは、簡易迅速に債権者の権利を実現させる特別の手続であるから、金銭の支払を求めたり、あるいは米や石炭などのように一定の種類、品質のものの交付を求めるなど、誤って強制執行をしても取り返しのつかない結果になることの少ない請求についてのみ認められるのであって、土地、建物の明渡し、引渡しを求める請求などは支払命令によることはできないのです。
 支払命令の裁判は、債務者の住所地の簡易裁判所が取り扱うことになっているから、当該簡易裁判所に対して、書面又は口頭で、誰に対して、どういう理由で、幾らの金銭の支払を求めるかということを申し立てる。
 支払命令の申立てを受けた裁判所は、その申立てが適法なものであるかどうか、理由があるかどうかについて判断することになるが、訴訟の場合と追って、原則として債権者の提出する申立書だけで審理し、その請求が一応理由あるものと認められれば、支払命令という裁判をする。そしてこの裁判は債権者及び債務者の双方に送られる。
 このように支払命令の裁判は債権者の言い分だけに基づいて行われるので、債務者にその債権は既に支払済みであるとか、まだ支払期限がきていないというような言い分、すなわち不服があるときは、支払命令の送達の日から二週間以内に支払命令に対して異議の申立てをすることができるのであって、この異議申立てが適法なものであれば支払命令の効力は失われることになっている。
 もし、債務者が二週間内に異議の申立てをしないときは、裁判所は、債権者の申立てにより、支払命令について仮執行の宣言という裁判をする。この仮執行の宣言の裁判がなされると、債権者は、その支払命令によって直ちに強制執行をすることができるようになる。
 ところで、この仮執行の宣言のついた支払命令も、また、債権者、債務者双方に送達され、債務者は、ここで再び異議を述べる機会が与えられる。すなわち、債務者は仮執行宣言のついた支払命令が送達された日から二週間以内に異議の申立てができるのです。もし債務者がこの異議の申立てもしないと、結局、仮執行宣言のついた支払命令は、普通の訴訟で確定した判決と同じ効力をもつことになる。
 異議の申立には、一定の方式があるわけでなく、支払命令を発した簡易裁判所に対して、書面又は口頭で異議がある旨を申し出ればよいことになっている。だから債務者としては、支払命令が送られてきたときに、漫然としてこれを敷設し、強制執行をされてからあわてることのないように、十分に注意する必要があります。
 債務者の異議の申立てが法律にかなったものであれば、それが仮執行の宣言の前であるか後であるかで多少異なるが、いずれの場合にも債権者が最初から普通の訴訟を起こしたと同じになり、事件は通常の訴訟手続によって審理されることになるのです。

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