和解や調停の決定に応じる義務があるか

 Aさんは家屋の明渡しを求める調停を家主のBさんから起こされ、二年ほど毎月裁判所に通っています。生まれてはじめての経験で困っています。家主の明渡しを求める理由は、店舗を拡張したいから、隣接のAさんが借りている家を明けてくれというのです。Aさんには高校、中学と就学している子供が二人いるので、いまさら出るわけにはいきません。
 調停委員は、家主が二階を造るといっているから、二階に引越してはどうかといいますが、調停には応じなければならないものなのでしょうか。

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 和解も調停も当事者の合意がなければ成立しないのです。だから、その調停案に不服があれば断わっていっこうに差し支えはないのです。しかし、実際問題として、調停委員から、あれこれいわれると気の弱い人は、つい応じてしまって後悔することも多い。だから、どうしても調停案に納得できないような場合は、遠慮なく自分の意思を申し述べることが大切です。
 家主が、自分の営業上の必要から明渡しを求めることはよくある例です。だが、借主としても、その家を明渡すことが困る実情もいろいろあるはずです。営業上の必要から要求する場合に、どうしても申出に応じなければならないという理由はありません。要は家主の明渡しの要求と借主の明渡しができない事情とを比較し、どちらがもっともであるかというととなのです。
 家主がどうしても明渡しをしてもらいたいのなら、それ相当のことを考えねばならないでしょう。たとえば、引越し先を見つけてやるとか、相当の立退料を出すとかです。今の家に二階を造って、そこに越してくれ、との申出があるようですが、それも一つの解決案でしょうが、一軒の家に家主と借主が共同で使用するという関係が将来にわたって生ずるところから、いろいみ問題が起きることも予想され、はたしてよい案かどうか疑問です。
 将来に問題を残すような調停はほんとうの調停とはいえないでしょう。
 そういった実質面をよく考えて態度を決めるべきです。調停が成立して調書が作成されれば、和解調書と同様に確定判決と同様の効力を持つから、借主の不履行があると明渡しをしなければならない場合も生じてきます。この辺のこともよく考えておかなければなりません。
 簡易裁判所には司法委員という人達がいます。お役所の形式ばった事務取扱いや解釈のしかたでは、とかく角が立ちやすく、親方日の丸の危険があるから、民間人の意見も聞こうというものです。
 民間人から達当な人を地方裁判所が選任しておいて、その中から簡易裁判所が事件ごとに指定して、裁判や和解に必要とあれば意見を聞いて参考にします。
 裁判所におかれている調停委員も、同 じ趣旨で設けられていますが、調停事件につき直接に意見が反映する点でちがいます。

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