債務者の持っている債権を差し押さえるには

 A氏は業界紙を経営しています。最近購読者が減って経営は苦しい。ところでA氏は、やはり業界のB氏に頼まれて一〇〇万円ほど融資していましたが、この際これの回収をはかって、自分の経営につぎ込みたいと考え、数か月前からB氏に催促していました。ところが、二、三日前B氏の経営する業界新聞社は不渡りを出して倒産してしまったのです。A氏は早速B氏に対して、一〇〇万円の支払いを請求しましたが、倒産するくらいだから支払われるわけはありません。いろいろ調査をしたところ、B氏の経営する新聞社には、かなりの購読者に対する未納金があることがわかったのです。この未納金をA氏は差し押さえたいのですが、どうすればよいのでしょうか。

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 A氏はB氏個人に対して貸付けしていたのではなく、B氏の経営する会社に貸付けていたものとして、債務者の第三者に対する債権を債権者が差し押えることが可能か、またその場合の手続きはどうかを解説することとします。
 債務者の第三債務者に対して持っている債権がどんな種類の債権であるかを探知する必要があります。第三者に対する債権の特定です。しかし、このことはなかなかむずかしいから完璧な特定は望まれないでしょう。どのような種類の債権であるかを他と区別できる程度に特定できればよいと思います。
 つぎにどの限度で差し押えるか、です。それは、債権者の請求金額を満足するだけの債務者の第三債務者に対する債権であるかどうかで決まります。一〇〇万円の債権があるが、債務者の持っている債権が五〇万円であれば、五〇万円の限度で差し押える以外にはありません。
 差押えの手続きですが、債権者の債権が公正証書のように執行力を持つ書面になっている場合以外は、仮差押をまずやっておかなければなりません。そうでないと、本差押えの手続きをするには、訴えて債権を確定させなければならないから、その間に、債権者の持っている債権が他の債権者に差し押えられてしまったり、他に譲渡されたりしてしまいます。
 仮差押えの決定を得て、裁判所から第三債務者に対して仮差押えの決定書が送達された時点で、仮差押えの執行が完了します。本差押えのためには債務名義が必要です(判決・和解調書・調停調書・公正証書など)。差押申請書にこれらの債務名義を添付しておこないます。
 この場合、差押決定書が第三債務者と債務者に送達されますが、第三債務者に送達された時点で差押えの効力が生じます。
 差押えが終わったら、その差押えた債 権の取立てをする(別に、取立命令をもらう必要はない)。また、転付命令を得て、押えた債権を、支払いに代えて券面額で代物弁済的に移転してもらうこともできます。ただ、この場合は、第三債務者に資力がない場合は危険です。なお、いずれの場合も一定の時期までに他の債権者から配当要求などがあったときは、取立てができなくなったり、転付命令が無効になったりします。この場合は配当手続きが実施されることとなります。

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