女子の定年が男子より低いのは違法か

 A子は三〇歳のとき、二人の子供を残されて夫に死別しました。それ以来、今の会社に勤めてもう一五年になります。この会社はA子が入社したときは社長以下一〇人くらいの小企業だったのですが、だんだん大きくなって、今では従業員も一五〇人を越すようになりました。
 ところで、この会社には、はじめは停年制の規程がなかったが、最近になって創業時以来の何人かが五〇歳を越えて高給を取っているので就業規則を改正し、停年制をしくことになりました。
 労使委員会でまとめた案では、男子六〇歳女子五五歳ということで、女子の年齢は男子より低くしてあり、A子は女子停年退職者第一号ということになりそうです。A子は子供の教育からもあと一〇年は働きたいのですが・・・・

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 労働基準法で女子であることを理由に差別待遇をすることを、明文で禁止しているのは、賃金の面だけです。
 停年制というような労働条件についての差別待遇は、結局、憲法一四条の「法の下の平等」の思想から判断してかからなければなりません。女子には肉体的諸条件から、労働時間や安全衛生などに特別の保護があり労働条件のある種の面では温室に入れられています。女子は肉体的に男子より劣ることは世間の人が、すべて認めるところです。また、働くものにとっては男子も女子も共に家庭という重荷を背負っているわけだが、男と女とではその重荷に相当の違いがあります。
 たとえば、男と女が結婚する年頃に姉さん女房の場合は別として、男二八歳、女二三歳と仮定しよう。結婚後二年目に長男が生まれたとして、この子が世に出て自活することのできる年齢を、いちおう二五歳とすると、父親は五五歳、母親は五〇歳ということになります。
 停年制は後進に道を譲るという趣旨ですが、まだ働ける者をあえて職場から遠ざける意味で国民皆労の精神から反するけれど、前述のような肉体的条件や社会的評価を考えて、男五五歳、女五〇歳とすることは、いちおう合理的であり、特に女子だからということで差別待遇をすることにもなりません。もっとも、近年の判決中には、男子六〇歳、女子五五歳との停年制は無効としたものもあります。
 このように、女子と男子の停年年齢を差別扱いした理由が、仕事上の必要からでたもので、なんらかの合理性が、客観的に認められれば、それは別段違法とはならないのである。とくに、女子が従事している仕事の内容、性格が、年齢を重要な条件、要素としており、一定年齢を越した女子を、そのような仕事に従事させることが、不適当であると社会的に認められるならば、その仕事に適した停年を定めてもなんら不都合はありません。
 最近の裁判所の考え方は、企業経営上の観点から合理性が認められない場合、あるいは社会的見地から、とうてい許容しうるものでないときは、公序良俗に反し無効だとしています。

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