有給休暇の買上は認められるか

 A君は○○商事株式会社の二年生社員です。入社の一年目は、夢中になって働いて、休暇をとるということなどは考えてもみませんでしたが、二年目となると仕事にも馴れていくらか落着きました。そこで土曜日曜にかけて箱根へ家族と一緒に保養に行く気になりまし。金曜の帰り際に庶務の女事務員に「明日は休暇にしてくれ」といい置いて、二日間のんびりしたわけですが、その月の給料日に明細をみると欠勤扱いになっていて、精勤手当もついていません。事務員に文句をいうと、「会社の扱いは、精勤手当は、休暇をとったときはつかないし、年末賞与のときに有給休暇一日につき給料の二日分を出すことになっている。だから、休暇をとると非常に損なんです」という回答でした。

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 年次有給休暇は、賃金を減少することなく、労働日に労働者を休養させようとするものであって、法律上最低限度を定めています。法律のたてまえでは、「一年間勤続し八割以上出動した労働者に対して、継続し、又は分割した六労働日の有給休暇を与えねばならない」ということになっていて、有給休暇を与えることは使用者の義務になっています。そして、これらの労働者であれば、その請求のあった時季に与えなければならない(労働基準のであって、使用者としては、とくに法律が指定した場合以外は、これを断わることができないような仕組みになっています。
 労務管理上は、あまり休暇を与えたがらない使用者がいますが、使用者としては労働者から請求された時季に休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる、とされていて、これ以外には、拒否も変更もできないのです。したがって、有給休暇の代わりに金銭を支払ったところで、有給休暇を与えたことにはなりません。かえって、休業しなかったときは一日いくらの割合で金銭を支給するという定めは、要するに有給休暇を買い上げることそのもので、労働基準法上違法とされています。○○商事では、休暇一日につき二日分の賃金で買い上げていることになる。そうはいっても就業規則で、労働基準法で定めている休暇より多くの休暇を与えることになっているときには、その基準法超過分について買上制度をしいても、これは基準法違反にはなりません。
 ただ賞与の査定の時に全出勤日数によりその評価をすることは差し支えないから、休暇をとった者より取らないものに賞与を余計出すことは差し支えません。
 これは基準法の解釈上、ただちに違法とはならないということで、最近の行政指導では、これが有給休暇消化の妨げとなるので、これを改めさせたいとしています。有給休暇制度の趣旨からみると、○○商事の扱いは疑問点が多い。
 基準法三九条違反は罰則もあることだから、A君も、この点を主張して改正してもらった方がよいと思われます。

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