事業不振で解雇するときの予告手当は

 Aさんは○○繊維株式会社という商事会社の事務員として、約三年間勤務していました。この会社は、いわゆる小企業で、総勢一〇人たらず、社長も、おきまりの如くワンマンです。先月の末、彼がいつものように給料をもらおうとしたところ、突然、社長から「会社の業績が不振なので、今月限りでやめてもらいたい。明日から五日間の給料は支払うから、その間に次の就職先でも探せばよいだろう」と申し渡されました。Aさんは、突然の解雇通告を受けて、途方にくれています。

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 大企業で働く者にとっては、今どきそんな話がと思われるでしょうが、小さな個人企業では、今でもこのような例を聞かないわけではありません。
 結論から先にいえば、この解雇は労働基準法二〇条に違反しています。
 労働基準法二〇条及び二一条をみて欲しい。簡単に説明すると、このようなことになります。
 まず第一に、使用者(個人企業でも会社祖織でもよい)は、労働者を解雇するに当たっては、あらかじめ三〇日前に予告するか、三〇日分以上の平均賃金を支払う必要があります。
 これは、突然解雇することによって、労働者の生活が破壊されることを防止しようという趣旨であって、三〇日前の予 告といっても、平均賃金を支払った日数だけ、予告期間を短縮することも可能です。
 また、これは、使用者からの一方的通告による解雇のときで、合意による退職や労働者からの申出による任意退職の場合には、予告あるいは予告手当を支払う必要はありません。
 第二に、同じく一方的通告による解雇といっても、天災事変その他やむをえない事情によって事業の継続が不能となったことを理由とするときや、労働者の責に帰すべき理由に基づく解雇のときにもまた、予告または予告手当を支払う必要はありません。
 ただ、この場合には、所轄労働基準監督署長の除外認定を受けなければなりません。もっともこの除外認定は、Aさんの場合のような単なる営業不振では受けられません。
 第三に、いわゆる日雇い(但し一ヵ月を超えて継続して雇傭されたときを除く)、臨時傭で二か月以内の期間の者(季節的業務による臨時傭については四か月以内)、試用期間中の者で、雇用されてから一四日以内の者には、この予告に関する規定の適用がありません。
 すなわち、Aさんの場合は、予告期間が五日間であるから、労働基準法に違反し、あと二五日分の平均賃金をもらうことができます。
 すなわち、使用者の故意、過失によって事業が失敗して、会社を解散しなければならなくなったり、自己の工場から火を発して工場が焼失したり、または、工場の施設や資材、機械が差押えをうけ、仕事の継続ができず、かつ金繰りのめどがつかなくなった場合でも、予告手当の支給義務は使用者にあるわけです。

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