見習工の解雇に予告手当は必要か

 本年四月一日、A君は○○製薬株式会社にいわゆる見習工として採用されました。見習期間は三か月で、その期間、不都合なこと、その他特別の事情のない限り、その後本工として採用されることになります。ところが、五月一〇日、突然工場長に呼ばれ、同人から「会社の都合で本日限り解雇する。本工については、退職金のほか、解雇予告手当を支払うのだが、見習工にはこれらの適用がない」といわれました。工場長のいうように、いきなり首を切れるのでしょうか。

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 ご承知のように、見習工と呼ばれているものの中にも、純粋の意味でいう、会社業務を見習い修得中のものと、従業員として正式採用される章での間、ー定期間、業務を習得する一方、本人の能力や人柄など従業員としての適格性を審査し、本採用するか否かを決定されるものとがあります。この後の意昧での見習工は、試用工か試用社員とか呼ばれることもあります。
 見習工(試用工)の法律的な地位については、いろいろ議論の多いところですが、ここでは、これらの者を解雇するにあたって、解雇の予告や予告手当の支払いが必要か否かについてみてみましょう。
 ご承知の通り、労働基準法二〇条は、解雇の予告と題し、使用者が労働者を解雇するときには、原則として三〇日前に予告するか、または三〇日分以上の平均賃金(予告手当と呼ばれています)を支払う必要があるとしています。
 ただ、これには多少例外があって、その例外の一つとして、労働基準法二一条四号は「試みの使用期間中の者」を挙げています。
 この「試みの使用期間中の者」というのが、A君のような、見習工(試用工)であるから、このところだけを読めば、工場長のいうように、会社は予告手当の支払もせずに、即時に彼を解雇できるようです。
 考えてみると、試用期間中の者は、その期間、性格や能力などが従業員として適格であるか否かを判断することを目的として、正式採用を留保されているのであるから、その期間中はいつ解雇されようとやむをえないともいえます。
 しかし、そうなると、正式採用を期待して働く労働者にとって、試用期間が長いときには酷な結果となります。そこで、労働基準法は一二条本文但書で、これらの者でも一四日を超えて引き続き使用された場合には、原則通り解雇の予告や手当を支払わなければ解雇できないこととしたのです。
 つまり、A君に対する解雇は、予告手当の支払いがない限り労働基準法に違反することになります。
 この解雇の申入は、試用期間中であることを要するかどうか、ということについては、見習期間終了後であっても、必ずしも不当ではないという判例もありますが、やはり期間内に通告した方がよいでしょう。しかし、その見習期間内に、三〇日の予告期間が終了する必要はないのです。

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