入社の際に経歴を詐称したときは

 Zは○○産業株式会社の経理課事務員として約半年前から勤務しています。彼の経歴は東京都内のある高等学校を卒業したあと約一年間A株式会社の営業課に勤務し、その後親戚の叔父さんが経営しているB株式会社の経理課に約三年間勤務していましたが、使い込みの事故を起こして退社し、今度○○産業に入社したのです。
 ZはB会社の件がバレることを恐れ、○○産業への入社の際に提出した履歴書には、B会社にいた期間を家業手伝としておきました。最近、上役がこの事実を知るようになりましたが、このことでZは解雇されるでしょうか。

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 世の中は万事、隠そうとすると現われるものです。このような経歴詐称は、程度の差こそあれ、時々見受けます。Z君のように積極的に他の経歴とすりかえることもあれば、消極的にただ隠してしまうこともあります。職歴について行なうこともあれば、学歴や賞罰について詐称することもあります。
 このような経歴詐称のすべてについて、たいがいの会社の就業規則では「経歴を詐称したとき」とか「重大な経歴を詐称したとき」などを懲戒を含め解雇の理由にあげています。また、裁判所で経歴詐称による解雇が正当かどうか争われることも多い。 
 ある判決は「使用者が労働者を雇傭する場合には、当該労働者の知能、教育程度、経験、技能、性格、健康等につき全人格的判断をし、これに基づいて採否を 決定し、採用の暁は、賃金、職種その他の労働条件を決定するのである。したがって、使用者が労働者の経歴を熟知することは採否のためのみでなく、労働条件の決定、企業秩序の維持、業務の完全な遂行のため必要欠くべからざるものである」といっています。
 このような難しいいいまわしはともかくとして、企業の秩序を維持する売めには本当の経歴を知ることが必要なことは確かです。そこで、たとえば学歴についてみても、最終学歴が中学校卒業なのに大学中退としたり、また反対に大学中退なのに中学校卒業としてもいけないことになります。
 このような前歴詐称は、入社時の履歴書と履歴書による学校や前の勤務先を調査すれば、比較的立証しやすいもので、争いとなっても、相手方はその事実を否定しない場合が多いために、使用者としては、すこし安易な気持で解雇という問題をとりあげる傾向がありますが、経理課員を採用する際には、その仕事の性質からいっても、十分の調査をしたうえで採用すべきでしょう。
 しかし、すべての経歴詐称が解雇に相当するとされているわけではない。多くの場合は、木当の経歴を承知していたら、採用あるいはそのような職種につけなかっただろうという関係が求められているようです。Z君は経理課員であり、使い込みの事故があったのだとしたら、その経歴詐称によって解雇されてもやむをえないでしょう。

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