担当業務が変わったときの保証責任は

 Aさんは、親友の親類にあたるBが○○電化株式会社に、一般事務員として採用されるにあたり、期間三年の約束でその身元保証人になりました。最近、○○電化会社から内容証明郵便が来て、会社の金六〇万円を使い込んだので、この損害賠償を請求するということでした。驚いて事情を調べたところ、Bはいつのまにか任地を変更され、また担当業務も営業部の集金係となっていて、集金した金を使い込んだことが判明しました。Aさんは会社の請求に応じ、六〇万円を賠償しなければならないのでしょうか。

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 身元保証契約は、被用者の行為によって使用者が受けた損害を賠償する保証契約であるから、使い込み事故のような場合には、当然これを賠償する義務が生じてきます。しかし、被用者が使用者に与えた損害にはいろいろのものがふくまれているし、またいろいろの事情もからみ合っています。
 そこで、「身元保証二関スル法律」は五条に特に規定を置き、裁判所は、身元保証人の損害賠償責任の有無および賠償すべき金額を決定するにあたっては、
 「被用者に対する使用者の監督上の過失の有無、身元保証をするに至った事由や保証契約をするに際にて払った注意の程度、被用者の任務や一身上の変化、その他一切の事情」を考慮しなければなもないものとしています。
 したがって、これについてはいろいろの判決例もありますが、たとえば、この実例の場合でいっても、○○電化はBを使用するにあたって監督上過失がなかったことを明らかにしなければならないし、そのためには、金銭を取り扱わせる以上集金した額と会社に入れた金額とは、領収証の点検を常に行なってこれを照合し、不正が行なわれないようにしなければなりません。
 また、Bはいつの間にか、任地も取扱業務も変更になっていたというのですが、もともと、このような変更があって、身元保証人であるAさんの責任が加重され又は監督が困難になるようなときには、使用者たる○○電化の方に保証人に対する通知義務もあるし、また、これを知った保証人には身元保証契約を解除する権限もあります。したがって、この通知を怠った○○電化の落度は相当程度評価してよいでしょう。
 また、前述の通知義務違反ばかりではなく、使用者に、B君に対する日頃の監督、指導が十分でなかった点に過失があれば、これまた弁償金額から差し引かれることになります。
 念のためつけ加えれば、東京高等裁判所の判決の中には、通知を受けた身元保証人が身元保証契約を解除しなかったからといって、その保証責任の限度が加重されるものでもないといっているのもあります。
 いろいろの事情を考えると、Aさんは六〇万円もの金額を支払う必要もないし、あるいはまったく支払う必要もないともいえるのです。

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