就任地が変更になったときの身元保証は

 Aさんは○○産業に約一年前に就職しました。BさんはAさんの友人として約一〇年来つき合ってきましたが、Aさんが就職に際し、たずねて来て、身元保証人になってくれとのことでした。堀さんは深く考えずに友人のためになることならばと、持参した書類に判をついてやりました。
 Aさんの最近の話によると、彼は今度、東京から九州へ単身転勤するそうで、仕事の内容も変わるということです。そうなると身元保証人の地位は変更になるのでしょうか。また、身元保証人のBさんはいつまで保証人なのでしょうか。

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 昭和八年にできた法律で「身元保証ニ関スル法律」というのがあります。
 たいがいの会社は、傭い入れに際し身元保証人をつけることを要求します。見ず知らずの者を採用するのだから、本人に事故があったときに、会社はその損害を填補するのに困るからであす。
 身元保証人には、ここに述べた「身元保証二関スル法律」が適用されます。この法律をみると、どのような名称でもよい、被用者の行為により使用者の受けた損害を賠償することを約した身元保証契約は、すべてこの法律の適用を受けることになります。
 責任の内容はともかくとして、BさんはいつまでAさんの身元保証人となっているのでしょうか。
 もちろん、契約で何年と決めたらそれによることになりますが、この法律によると、新たに契約をするときも、あるいはすでにある契約を更新するときも、その期間は五年を超えることができません。もし超えたときには五年に短縮されます。また、全然期間を定めなかったときには、普通は三年間、商工業の見習者に対する者は五年間と定められています。
 それなら、五年なら五年間はあくまで身元保証人でなければならないのでしょうか。人間は年をとるとともにまたその順境によっても変わって行くものです。その変わって行く生身の人間をどのような事情があっても保証しなければならないとなると、身元保証人にとって酷な話です。
 そこで、使用者は被用者について「業務上不適任又は不誠実なことがあって保証責任が発生するおそれがあることを知ったとき、任務又は任地を変更したことによって保証責任が加重又は監督が困難になるとき」には、保証人に通知する義務があり、身元保証人は、通知を受けまたは自身これを知るようになったときは、身元保証契約を解除することができるのです。
 このように任地が変われば、使用者はその通知をする義務があるので、これを怠った場合には、たとえ損害が発生しでも、その賠償を保証人に請求できません。
 したがって、Bさんは、Aさんの任地変更によって監督が困難になったのであれば、○○産業会社に通知して身元保証契約を将来に向かって解除することができます。

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