労働組合へ加入したら本採用を拒否された

 A君は、○○工業株式会社に本年四月就職しました。○○工業の就業規則によると、新入社員は採用後二か月間試用社員として業務に従事し、従業員として不適格だと判断されたときは、解雇されることになっている。五月末、会社よりA君に通知があって、勤務成績が悪いので本採用を拒否し、解雇するという。
 彼は他の同僚に比較し勤務状況も普通であるのに、その理由が納得できないが察するところ、C合同労組に加入し、活動していたのを嫌ったものと思われます。

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 たいていの会社は、社員として採用する前に一ヵ月から六ヵ月くらいの期間、試用期間を置いています。このような期間中の者を試用社員だとか試用工、見習工等とよんでいます。
 本問のA君の場合もこれです。これは、将来、正式社員としての採用を予定し、あらかじめその者の労働能力や性 格等を判断し、従業員としての適格性を審査しようとするものです。
 試用採用の者の法律的性質がどんなものかについては、いろいろの説があります。簡単に紹介すると、一種独特の契約(本採用を前提とした予備契約)があって、この期間終了後、あらたに正式社員としての労働契約を締結するというもの、あるいは当初から併せて正式社員としての労働契約の予約があるというもの、さらに、正式社員と同様の労働契約はあるが、ただ一定の試用期間を設けて、適格性審査のうえ適格だとなれば、そのまま正式社員となるもの(この場合、試用期間中は解約権が留保されているといわれる)あるいは不適格だとなれば、そこで労働契約が終結されるというものなどです。
 実際の試用契約の性質がこのうちのどれにあたるかについては、就業規則の規定、雇用された者に対する処遇の実情本採用との関係での取扱いにおける事実上の慣行の如何などを考慮して判断されるべきだとされています。
 ○○工業の場合も、実際の扱いなどを検討してみないとわわかりませんが、いずれにせよ、不適格と判断し、あるいは解雇するにあたっては、経営者に大幅な解約権が留保されているといっても、それ相応の合理的根拠が必要です。
 労働組合運動をやったことが理由であれば、労働組合法七条一号の不当労働行為として、解雇は無効であり、当然正式社員になります。
 また、本人の思想信条を理由にすれば、憲法や労働基準法に違反することになって無効となり、やはり正式社員としての地位を保有することになるのです。
 しかし、問題になるのは、使用者が解雇を決心した本心が、はたして労働組合法七条にあげている理由であったのか、それともほかに解雇しなければならない相当の理由があったのかどうかの判定です。
 かりに、A君の場合に、その真の理由が察知する通りであるとすれば、解雇は無効となるでしょう。

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