一時帰休とはどのような制度をいうのか

 A夫さんは、ある繊維関係の会社に勤め始めて五年になります。ところが、最近になり、会社の方では、この不景気を乗り切るために、従業員に対して「一時帰休」を打ち出すといいます。
 この一時帰休が、いったいどういう制度なのかA夫さんは皆目見当がつかず、家族にも相談をしそびれています。一時帰休とはどのような制度をいうのでしょうか。

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 一時帰休とは、不況による操業短縮のために、使用者が事業の全部または一部を一時的に停止して、その間労働者を一定期間休業させることをいい、最近不況乗り切り策として多くの会社で行なわれているものです。
 一時帰休がなされると、会社としては、過剰在庫の問題が解消されると同時に、賃金の支払いもカットできるという一石二鳥の方法であり、一時帰休は、不況乗り切りのための方法の一つであるといえます。
 ところで、一時帰休がこのような内容のものであるとして、これを労働者に命ずることができるかどうかということは問題です。
 就業規則や労働協約に「業務上の必 要があるときは、帰休することができる」と規定されていれば、使用者が労働者に対し一時帰休を命ずることも差し支えないと解されています。
 そこで、一時帰休が命ぜられた場合にはどうなるかというと、この場合には、労働基準法二六条にいう「使用者の責に帰すべき事由による休業」にあたると解されるので、法律上は、休業期間中は、その平均的賃金の百分の六〇以上の手当てを支払わなければならないとされています。
 しかし、これは最低基準を定めたものであって、実際には、就業規則や労働協約において帰休中の賃金や手当てについて規定されているのが通常とされており、これにしたがって賃金等も支払われることになります。
 一時帰休がなされても、労働者は解雇と違って従業員としての地位を失うものでないのは当然であり、就業規則の従業員の地位に基づいて適用される規定、たとえば、業務上の機密保持とか会社の雇用保持に関するものは、そのまま適用されます。
 なお、一時帰休中にアルバイトをしたような場合に、就業規則の兼職禁止の規 定に抵触するのではないかという問題が生じますが、この場合には、本来の労務提供の義務が免除されているから、就業規則には抵触しないものとみるのが妥当です。
 最後に、雇用保険法施行規則では、景気の変動、その他経済上の理由により事業活動の縮少を余儀なくされ、使用者が労働者に一時帰休させた結果、休業手当てを支払わざるを得ない場合には、使用者としても相当の負担になるので、雇用調整給付金を支給することにしており、一定の条件のもとに一定の金額が使用者である事業主に支払われるものとされています。

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