見習い期間中の解雇は自由にできるか

 A男は、○○工業株式会社の社員である。入社したのは、約三ヵ月でしたが、その身分はいわゆる見習社員でした。会社では、入社の際には必ず六ヵ月の見習期間を経なければならないことになっていて、これを無事終えれば正式社員となることになっています。ところが、つい数日前上司に呼ばれ、これという理由も示されずに、とにかく会社を辞めろ、辞めなければ解雇するといわれました。こんなことができるのでしょうか。

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 一口に見習工とか、見習社員といっても、いろいろの形のものがあります。いわゆる試用などのように、一定期間中のものもあれば、本工への養成期間中のようなものもあります。ただ、通常の場合は、単 に見習と称すれば、試用期間中のものを指していることが多い。
 試用期間中のものの法的な地位についても、いろいろの考え方があり、各会社の実情にしたがって検討を要するものです。しかし、試用期間中は、会社その他使用者側に大幅な解雇権があって、正社員として不適当なものとするときは、正式社員としての採用が見合わされ、解雇されることになっています。
 労働基準法も、従業員を解雇する場合には解雇の予告または予告手当の支払いを要するとの二〇条の原則的規定の例外として、二一条において、試みの使用期間中の者について解雇予告または解雇手当の支払いを要しないとしましたが、その者が一四日をこえて引き続き使用されるに 至ったときは、原則どおりこれを必要とすることにしています。
 問題となるのは、むしろ、見習社員その他試みの使用期間の者について、正式社員としての登用をやめたり、あるいは解雇する場合に、その理由となるものは、本工あるいは、正式社員よりは広く認められたり、あるいはこれという理由が許されるかということでしょう。試みの使用期間を設けている会社のほとんどは、実際には、就業規則なり、その他の規則において、正式社員としての登用などの際の資格事由や試用社員の解雇事由を規定していることが多いでしょう。そして、それは何らかの意味で正式社員の解雇事由に比較して広く認められているのが通例です。
 しかし、試用期間中の者でも何の理由もなく解雇を認められる訳ではなく、またその理由も試用期間に伴う合理的な範囲のものに限られていると考えられます。裁判例中にも、ご承知のように、学生運動の経歴があったとか、その他思想信条等によって差別を設けたりすることを禁じ、また、その期間中に提出されたレポートなどに多少の誤字があったり、遅刻などが何日かあったとしても、それをもって本社員として登用を拒否し、あるいは解雇するのは合理的な範囲を超えて無効であるとしています。
 そして、ここでいう合理的範囲は、一応試験その他によって採用したものである以上、そこで発見できなかった従業員としての資格事由として社会通念上認め得るものに限られます。

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