団体権と団体交渉権の保障

 労働条件を対等の立場で決定するためには、労働者が団結することが認められなくてはなりません。
 日本国憲法は、働く者の団結権、団体交渉権その他団体行動権の保障を宣言し、これにもとづいて、労働組合法、労働関係調整法が制定されましたが、その内容は、正当な団結、団体行動については、罰せられないし、損害賠償を請求されることはないし、また、解雇その他不利益な取扱いや組合の運営にたいする支配介入を受けるといったような不当労働行為をされることはないといったものです。

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 もっとくわしく言うと、まず、労働組合について、労働組合法は、労働組合の自主性、民主性、責任性の三つのイメージをもち、これについての法的要件に合致したものにたいして法人格の認定とか不当労働行為から労働組合を救済することなどの法的救済を与えることとし、組合員であることを雇用条件とするユニオンショップ協定の締結を承認することによって、労働組合の統制力の強化に協力しています。
 団体交渉については、労働組合法は、か なり進歩的な態度をとり、労働組合が使う者にたいして、遠慮のいらない専門家に交渉を依頼できるように、その委任した者も交渉できることとし、その対象も、官公労の場合のように、管理運営に関する事項を除外し、労働条件に限定しているのとは異なり、「労働協約の締結その他の事項に関して」といった風にきわめて広く定め、最高裁によると、労働条件の維持改善に必要なものは全て含むとしています。
 さらに労働組合法によると、使う者は、正当な理由がなければ交渉を拒絶できないことになっています。
 争議行為については、労働組合法が正当なものについて刑事上、民事上さらに不当労働行為からの保障をしたことは、すでに指摘しましたが、ここに保障したものは、正当なものにかぎられるのです。日本の法律は、このストライキ権の保障の反面において、ヨーロッパの先進国とくらべると、つぎに示すような、かなりの制限をしています。
 それは、官公労働者のストライキを頭から禁止しているだけでなく暴力の行使を禁止し、事業場における人の生命、身体の安全保持の施設の正常な維持、運行を停廃し、またはこれを妨げる行為を禁じ、国民経済や生活を危くする争議行為にたいし内閣総理大臣が中労委の意見をきき五〇日間停止でき、公益事業においては、一〇日前の通知義務を課し、電気の正常な供給に直接に障害を生ぜしめる行為ならびに保安要員の引揚げ行為を禁じ、調停案の解釈履行については、調停委員会の見解をきいた後でないと争議行為を禁じ、外国の港に停泊中の船泊の争議行為ならびに人命だけでなく船舶に危険が及ぶような争議行為を禁止しています。
 労働関係調整法は、そのように公共の福祉の名において、争議行為に対するいろいろのブレーキを定めていますが、その争議調整のための種々の手続きを規定しています。
 労働関係調整法により労働委員会が準備をしている斡旋による斡旋は、当事者の意思の疎通をはかることを主な任務としていますが、調停は、調停案をだして世論によって解決するという仕組みなので、公益事業などをのぞき、原則として、労使双方がたがいに調停に附することを納得しておかなくてはなりません。
 注意すべきととは、公益事業などの場合に強制的に調停が開始されたとしても、その調停は、斡旋の場合と同じく拘束力を有しません。拘束力を有するのは、仲裁です。したがって仲裁の開始は、労使の完全な同意を要します。
 このように労働関係調整法の斡旋、調停、仲裁はサービスと納得の原理によって貫かれているというべきです。
 官公労働者について団結、団体交渉、争議行為にいろいろの法律による手かせ足かせは、国際的な批判をあびて、現在、検討中ですが、日本の最高裁判所は、これまで、前進、あるいは後退をしながら、現在、その争議の一律禁止を合憲としています。

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