刑事問題に適用される法の体系

 刑事問題に適用される法の体系を刑事法とよびますが、この刑事法は次のような三つの体系からなっています。第一の法体系は刑法です。刑法はどのような行為が犯罪となり、それにどのようん刑罰が科せられるかを個別的に規定します。第二の法体系は刑事訴訟法です。刑事訴訟法は、個々の具体的事件につき犯罪事実の有無を証拠に基づいて認定し刑を量定するための手続きを規定します。第三の法体系は行刑、すなわち刑の執行に関する領域です。監獄法を中心とする多彩な矯正保護法がこれに属します。
 このように刑事法は犯罪と刑罰に関する法体系を構成しますが、こみうち、私達の日常の社会生活に発生する刑事問題に直接関係をもつのは、刑法と刑事訴訟法です。これら二つの法は、ともに国の刑事司法を運用する上で最も重要な役割りをはたしています。
 刑法においては、たとえば、窃盗や詐欺、横領、さらには殺人といったような各種の犯罪の具体的内容と刑罰の種類、範囲を規定し、およそ犯罪が発生したときには、国家の側に刑罰権が、そして犯人の側に刑罰忍受義務が、それぞれ発生することを認めています。
 しかし、そこでの刑罰権と刑罰忍受義務とは、あくまでも抽象的、観念的な法律関係で、これを現実的に具体化するためには、厳格な法の定める訴訟手続きにおいて証拠に基づいてなされなければなりません。こうして、刑法は犯罪と刑罰の内容を、刑事訴訟法は刑法を具体的に実現するための手続きを、それぞれ規定することにより刑事司法の運用上、あたかも車両の両輪のような役割りをはたすのです。刑法が実体法とよばれるとき、刑事訴訟法が手続法とよばれるのは、以上のような関係からです。

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 刑法は、犯罪と刑罰を規定する法を総称します。その中心をなすのは、明治四〇年四月二四日法律第四五号として公布され、翌四一年一〇月一日をもって施行された「刑法」典ですが、このほか社会機構の近代化と複雑化に伴い行政取締法令や経済的規制法令の中にも罰則規定が強化されてきて、これらも刑法としての機能をはたしています。
 刑法典は「総則」と「罪」との二編からなり、総則は各種の犯罪に共通する一般的通則を規定し、罪の部分は各種の犯罪の内容と刑罰の種類、範囲を個別的、具体的に規定します。全文二四六か条と附則とからなり、その後の社会状況の変化に対応すべく、数十回の部分的改正手続きを経て今日に至っています。
 この刑法典のほかに特殊な犯罪形態についての処罰を目的として立法化された法律も多い。軽犯罪法は、刑法典に規定する各犯罪ほど反社会性が強くなく、 罪質や保護法益の点で比較的軽微か違反行為を処罰するために立法化されました。この法律の第一条には三四項目にわたる日常生活上の禁止行為が規定され、この中には、官名詐称、浴場等における窃視行為、動物加虐行為、浮浪行為、身体の露出行為、公道上に放尿行為などが処罰の対象とされています。犯罪性の軽微なところから罰則も拘留または科料にとどまります。
 暴行為等処罰二関スル法律は、集団による暴力行為の危険性に着目し、刑法が規定する各種の暴力事犯より刑罰を加重するとともに、常習的暴力犯罪を処罰するための規定の新設を目的として立法化されました。盗犯等ノ防止及処分二関スル法律があります。同法は、その頃東京市民を震憾たらしめた、「説教強盗」事件を契機にして、正当防衛の特則を定めるとともに常習強窃盗、常習強盗致死借・同強盗強姦等の処罰規定を新設するものでした。爆発物取締罰則、航空機の強取等の処罰に関する法律、売春防止法、破壊活動防止法など、この種の特別立法による刑罰法令は枚挙にいとまがありません。そして、これらを総称して特別刑法とよんでいます。

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